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​初の日本人宇宙飛行は毛利さんになるはずが…

「宇宙なう」

日本の民間人として初めて国際宇宙ステーション(ISS)に滞在中の実業家・前澤友作氏。

ユーチューブ、ツイッター、テレビ局のインタビューなど、

まざまなメディアを駆使して宇宙体験を発信している。

「着いたよ、宇宙だよ。着いちゃったよ。本当にあったよ、宇宙が。ステーションもあったよ」



約30年前、前澤氏のような商業宇宙飛行をしたTBS記者の秋山豊寛さん。

秋山さんは1990年12月、TBSの創立40周年を記念する「宇宙へ特派員を派遣する」事業で、

旧ソ連の宇宙ステーション「ミール」に滞在した。

旧ソ連に払った旅行代金は公表されていないが、約40億円(当時)とも言われている。

秋山さんの宇宙からの第一声は「これ、本番ですか?」。

当時、宇宙へ人を送りだしている国は米国と旧ソ連のみ。

宇宙では英語かロシア語、という中で、初めて日本語が発せられた歴史的な瞬間だった。

だが、日本政府の反応は冷たかった。

記者会見などの表立った場では静観していたものの、

科学技術庁(現・文部科学省)幹部は、裏でこう言い放った。

「あの人はお金を出して、宇宙へ運んでもらっただけ。荷物と同じなんです!」



当時、科技庁と宇宙開発事業団(現・JAXA)は、国家プロジェクトとして、

日本人初の宇宙飛行士を実現させる計画を進めていた。輸送手段は米国のスペースシャトル

1988年に飛行予定だったが、シャトル爆発事故が起き、NASAが計画を見直した。

その結果、初の日本人宇宙飛行となるはずの毛利衛さんより先に、秋山さんが飛行してしまった。

メンツをつぶされた科技庁のショックは大きく、悔しさをあらわにした。

 「毛利さんは宇宙で科学実験をするという崇高な目的がある。荷物として運んでもらった人とは全然違うんです」

その後も、科技庁と事業団は、秋山さんを「宇宙飛行士」として、認めようとしなかった。

世界の宇宙飛行士たちの集まる会議で、他国の飛行士から「おかしい」と指摘され、

しぶしぶと認めるようにはなった。



とはいえ、毛利さんも無料で飛行したわけではない。政府はNASAへ120億円を支払い、

宇宙実験用の装置開発に150億円、計270億円を使った。

しかも、NASAから見れば、この時の毛利さんは正式な宇宙飛行士ではなかった。

宇宙で実験をする科学者は「お客さん」扱いだった。

この時代の米国は、外国人に宇宙飛行士の資格を認めていなかった。

その後毛利さんはNASAで訓練を受け、飛行士の資格を獲得した。

前澤氏の宇宙飛行がもたらす「夢追力」は注目