日本が資金援助するスリランカのライトレール計画が突如中止に。
背景にあるのは、スリランカにおける中国の存在感。
スリランカは29日、日本の支援で進んでいた次世代型路面電車(LRT)、
整備計画の中止を閣議決定したと発表。
国際協力機構(JICA)による円借款での実施が前政権との間で締結され、
スリランカにおける中国依存脱却と日本の存在感確保のきっかけになるとみられていた。
総事業費は約2500億円。シリセナ前大統領時代の昨年3月、
日本の国際協力機構(JICA)とスリランカ政府が事業の第1期分として、
約300億円の円借款契約を結んでいた。
LRTに対する住民理解・協力を促す活動や初期工事は既に始まっており、
外国融資によるインフラ整備計画としてはスリランカ史上最大で、
完成すれば、スリランカの新しい時代の象徴となるはずだった。
そんな矢先に突然、ゴタバヤ・ラジャパクサ大統領がLRT事業の中止を命じた。
スリランカ政府は中止の理由について、
「(整備計画は)高額で、多くの既存の建物が取り壊される可能性がある」と説明。
「安価で同じ目標を達成できる事業を検討中だ」とした。
そんなことは当初から分かっていたことだ。
JICAスリランカ事務所は今後の対応について、
「日本政府と相談しつつ、スリランカ側と協議していく」と述べるにとどまった。
そして、契約破棄の報道から2週間も経たない10月10日に、
中国の外交トップ・ヤン・チエチー政治局委員がスリランカを訪問し大統領と会談。
中国の経済圏構想「一帯一路」で協力を強化することで合意した。
日本は既に始まっていた事業を中国に奪い取られたのだ。
日本の敗因は中国の強引な手口と価格競争とコミッションに負けたことだ。
スリランカなど発展途上国では、品質保証より、安価なことが最優先される。
そして、意思決定のスピードでも日本は中国に負けている。
即断即決が今の中国にはある。
安倍元総理の外交とは何だったのか。
日本の新幹線方式を採用した、インド初の高速鉄道計画だったが、
日印両政府が2023年の開業予定を5年程度延期する方向で協議している。
日印の政府関係者によると、18年に本格的な工事を始める予定だったが、
20年に入っても高架やトンネルなど路線本体の工事に着手していない。
インド側はより早期の開業を希望しており、開業の遅れで総事業費が膨らむことも予想される。
この案件は、低廉なコストで絶対的な強みを持つ中国が勝利すると目されていたが、
日本が約800億元(約1兆2000億円)の資金を50年間利率0.1%で貸し出すという、
奇策を打ち出したことで、日本が受注をした。
しかし、今回の延期で中国は、「インドの高速鉄道プロジェクトを受注できなくてよかった。
受注していれば日本ではなくわが国が惨状に見舞われるところだった」
などの声が上がっている。
日本の散々たる惨状はあまり報道されない。