Go To トラベルの利用者はより新型コロナに感染しているリスクが高いと考えられます。
(抜粋)
投稿者: 津川 友介 投稿日: 2020/12/06
※本論文はプレプリントであり、著者ら以外の専門家からの査読はまだ受けておりません。
しかし、政策上重要なテーマであるため、速報性を重視するために公開しております。
新型コロナウイルス感染症(新型コロナ)が世界中で猛威を振るっており、
日本でも冬を迎えて感染者数の再増加を経験しています。
日本のGo To トラベル事業には11月末時点で2000億円の政府予算が投じられており、
延べ4000万人が利用している世界的に見ても大規模な事業です。
11月からの新型コロナ感染者数の増加を受けて、
この事業が新型コロナの感染拡大を増悪させているのではないかと懸念されていました。
しかし、Go To トラベル事業と新型コロナの感染リスクの関係性は十分に分かっていませんでした。
そこで今回、私達の研究チームは、GO TOトラベル利用者の新型コロナ感染リスクを明らかにするため、
15−79歳を対象とした大規模なインターネット調査(2020年8月末〜9月末に実施)
によって集められてデータの解析を行いました。
*宮脇敦士(東京大学大学院医学系研究科)、田淵貴大(大阪国際がんセンターがん対策センター疫学統計部)、遠又靖丈(神奈川県立保健福祉大学大学院保健福祉学研究科)、津川友介(カリフォルニア大学ロサンゼルス校[UCLA]) によって構成される共同研究チーム。
調査時点(=8月末〜9月末)でGo To トラベルの利用経験のある人は、
利用経験のない人に比べて、過去1ヶ月以内に新型コロナを示唆する症状を呈する割合が、
発熱では1.1%、咽頭痛では8.7%、咳では8.0%、頭痛では3.9%、
嗅覚/味覚異常では0.9%高いことがわかりました。
また、15-64歳(非高齢者)と65-79歳(高齢者)で別々に分析を行ったところ、
新型コロナを示唆する症状を呈する割合は非高齢者で顕著に高く、
また、Go To トラベル利用の有無による新型コロナ症状を呈する割合の統計学的な有意差も、
非高齢者のみに見られました。