発端は、薬事法違反事件だった。
警視庁の生活安全部が、貿易会社の社長と健康食品を扱う中国人女性を薬事法違反で逮捕。
厚生労働省の許可を得ず、健康食品を販売していた。
捜査員が、中国人女性の自宅を家宅捜索したところ、意外なものが見つかった。
海上自衛隊の海将補に関する資料が大量に出てきた。
捜査を進めると、逮捕した中国人女性の夫は、駐日中国大使館に勤務する武官であることが判明。
武官は怪しい動きをしていることも判明。
公安部外事2課は、武官と元海将補の周辺を本格的に捜査。
武官は海将補を都内にある高級中華レストランで接待していたことも確認。
海将補は潜水艦に乗務する部下からスクリュー音を小さくする技術と、
潜水艦のハッチに使われている防水ラバーに関する情報を聞いたようだ。
公安部の捜査が自身に迫っていることを知った武官は中国へ帰国。
一公安部外事2課は、すでに退官していた海将補を任意で事情聴取した。
元海将補は、武官と会っていたことは認めたが、潜水艦のスクリュー技術などは一切教えていないと容疑を否認。
確たる証拠がなかったので、立件することはでなかった。
日本にスパイ防止法が成立していれば、状況証拠だけでも立件できたという。