JR東日本は7日、鉄道車両のブレーキ時の余剰電力を貯めておくため、
沿線蓄電システムに、「超電導フライホイール蓄電システム」を導入する実証実験を行うと発表。
電車のブレーキは、物理的に車輪を抑えてつけて止めるブレーキのほかに、
車輪の回転力を発電機に伝えて電力に変える「回生ブレーキ」を一般的に備えている。
回生ブレーキによって生まれた電力は、架線を通して、近くの別の電車へ回されるが、
近くに電車がいない場合は、その電力は無駄になってしまう。
そこで、その電力を貯めておく蓄電装置を沿線に設置するのが、今回の取り組み。
さらに今回は、電気をバッテリーに蓄電するのではなく、
新技術の「超電導フライホイール蓄電システム」を採用。
本来無駄になってきた回生電力をうまく再利用することで、
年間146メガワット時の電力が節約されるという。
今回は、軸受けに超電導技術を活用することで、摩擦によるエネルギー消耗も抑えられ、
効率が高まるとしている。
フライホイールとは、装置の内部にある大型の円盤であるフライホイールロータが回転することで、
「運動エネルギーが蓄積された状態」にする。
発電電動機を介して回生電力エネルギーを運動エネルギーとして貯蔵(充電)し、
必要に応じてエネルギーを放出(放電)するシステム。
充放電の繰り返しによって性能が劣化せず、有害物質を含まない構造のため、環境に優しい。
フライホイールロータの荷重を受ける軸受け部分に超電導技術を採用することで、
非接触としメンテナンスコストの削減、エネルギー損失の低減を図る。
なお、超電導フライホイール蓄電システムの鉄道の応用は世界初となる。
この装置は中央本線の穴山駅北側の変電所に設置され、8日から運用開始される。
穴山駅のある小淵沢~甲府間は約22kmのあいだに約600mもの高低差があるため、
東京方面へ向かう列車は発電、松本方面へは逆に電力消費が大きく発生。
穴山駅付近を走行する列車走行時の充放電を実施し、
充放電特性およびシステムの有効性の検証を行い、将来の実装を目指す。