ノーベル文学賞作家の大江健三郎氏が3日、老衰で死去。88歳。
世界各地から悼む声が届く。
ドイツメディアは13日、大江氏の死去を一斉に報じた。
DPA通信は、憲法9条を守る活動や東京電力福島第1原発事故後の反原発運動を取り上げ、
「日本の社会的良心のような存在だった」と評した。
フランス紙ルモンドは「戦後日本の知の歩みを希望と幻滅両面で体現した」と評した。
韓国メディアは1970年に政権批判の詩を発表し投獄された詩人、故金芝河さんの支援に携わったことなど、韓国との縁を紹介。
台湾メディアは、東京電力福島第1原発事故を受けて、
「積極的に反原発運動に参加し、クリーンエネルギーへの切り替え」を訴えていたと伝えた。
公共放送ARDは東京駐在の記者による評伝で、自衛隊の海外派遣に反対して、
核兵器廃絶を願った大江氏の過去の発言を紹介し、
「作品で人々に感動を与えるだけでなく、平和主義と反原発の闘士だった」と伝えた。
大江氏は平和や護憲を訴え、広島で被爆者や原水爆禁止世界大会などを取材し、「ヒロシマ・ノート」を発表。
復帰前の1965年の初来訪以降、沖縄に何度も足を運び、70年に日本と沖縄の関係や米施政権下の実態を記した「沖縄ノート」を出版。
2015年4月には、辺野古新基地建設を巡り有識者ら22人で「埋め立て工事の即時中止」を求める緊急声明を発表。
また同年11月の那覇市内での講演では、辺野古新基地建設について、
「狭い沖縄に核兵器の基地があるということが本質的問題。移設しても根本的には何の解決にもならない」と訴えた。
(合掌)