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​IAEA報告書は「処理水の海洋放出」を承認していない。

岡田充 [ジャーナリスト]

福島第一原子力発電所で発生した、いわゆる処理水を海洋放出する日が近づいている。

日本政府やメディアは、国際原子力機関IAEA)が「国際的な安全基準に合致している」とした調査報告書(7月4日)によって、海洋放出の安全性と正当性が示されたかのように主張する。

だが、この報告書に、海洋放出の方針を「推奨するものでも承認するものでもない」との記載があることに、どれほどの人が注意を向けているだろう。

報告書で「お墨付きを得た」とし、地元・福島の漁民や市民団体、中国や太平洋の島しょ国など海外の反対を「非科学的」「外交カードにしている」などと決めつけるのは、あまりに傲慢な態度ではないか。

IAEAの調査報告書公表を受け、中国や太平洋島しょ国からも反対の声が上がり、外交問題に発展している。



まずは中国の主張に耳を傾けよう。

呉江浩・駐日大使と駐日大使館報道官は7月4日の記者会見で、海洋放出に反対する理由を次のように列挙した。

日本側は周辺近隣国など利益関係者と協議せず、一方的に決定した原発事故で生じた汚染水を海に放出した前例はない

「各国も原発から汚染水を排出している」との日本の主張について、排出しているのは冷却水であり、事故で溶けた炉心に接触した汚染水ではない

溶け落ちた炉心と直接接触した汚染水には60種類以上の放射性核種が含まれ、その多くには有効な処理技術がない

呉大使はその上で、「日本はただちに海洋放出計画を中止させ、国際社会と真剣に協議し、科学的、安全、透明で、各国に認められる処理方式を共同で検討すべき」と主張した。

オーストラリア、ニュージーランドパプアニューギニアなどの太平洋島しょ国が加盟する「太平洋諸島フォーラムPIF)」は、IAEAが報告書を公表する直前の6月26日、プナ事務局長が声明を発表した。

笹川平和財団主任研究員の塩澤英之氏の抄訳によれば、

放射性廃棄物その他の放射性物質」の海洋投棄は「太平洋島しょ国にとって、大きな影響と長期的な憂慮をもたらす」ため、

「代替案を含む新たなアプローチが必要であり、責任ある前進の道である」と、プナ事務局長は海洋放出に反対する態度を表明した。

なお、日本は菅前首相時代の2021年7月、太平洋地域の19カ国・地域の首脳と「第9回太平洋・島サミット(PALM9)」をオンラインで開いている。

菅氏はその際、「権威主義との競争など新たな挑戦に直面」しているとして、中国の脅威に対抗する結束を呼びかけたが、

太平洋島しょ国側の同意を得られず、議論は海水面の上昇や海洋ゴミ、核廃棄物など汚染物質対策に集中した。

‘@これが事実だとすれば良く分からなくなる。

中国が排出しているのは冷却水。

溶け落ちた炉心と直接接触した汚染水には60種類以上の放射性核種が含まれ、その多くには有効な処理技術がないのが事実だとすれば問題だ。

IAEAの立場としてはどんな放射性物質でも海洋などに放出することを認めるわけにはいかないので、報告書には記載しない。

ただ日本の事情も分かるので容認するということだ。

だから、最後まで見届けるとしている。

放出するなとも言っていない。