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河村市長、知事辞職勧告を請願。

名古屋市河村たかし市長が25日、愛知県議会に、

大村秀章知事への辞職勧告決議を求める請願書を提出。

河村市長は県議会事務局を訪れ、大村知事の芸術祭の運営姿勢などを問題視して、

辞職勧告決議を求める請願書を提出。

その後、記者団に「議会が議論すべきなのにしない。

税金であのような展示をやっていいのか議論していただきたい」と述べ、

県議会での議論を促す目的で請願書を出したと説明した。

県議会事務局はと、請願の採択の可否は近く開く議会運営委員会で審議される予定と説明。

県議会では7月、大村氏へのリコール署名活動をしている、

美容外科高須クリニック」の高須克弥院長が提出した、

大村氏への不信任決議を求める請願を不採択とした経緯がある。

最大会派の自民党の県議は「今回も同様の趣旨であり、同様の対応になるだろう」と、

不採択の見通しを示している。

 

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国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」の運営をめぐって対立する両氏だが、

ともに地方からの政治改革を旗印に、固く結束していた頃もあったはず。

なぜ、犬猿の仲になったのか。

「ムラムラコンビ」ともてはやされた河村市長と、大村県知事の2人。

名古屋市にある日本有数の渡り鳥の飛来地藤前干潟

ここに名古屋市がごみ焼却所を造る計画を立てていたが、それに党を超えて反対し、

干潟を守った二人。それ以来、認め合うようになった。

11年2月の名古屋トリプル選挙では、ともに「減税」を前面に打ち出し、

中京都構想”という地方分権をぶち上げ圧勝した。

しかし、8月に大村知事が河村市長に知らせることなく、

自らが代表となる政治団体「中京維新の会」の立ち上げを発表。

これに、怒り心頭の河村市長。

「もう信頼できない。会うつもりもない。なんべんも話していたのに、言わなかった。

だまし討ちのようなやり方をして、向こうが『セイ・グッバイ』と言うとるのと同じでしょう」と憤る。

一方の大村知事は、

「河村さんは政治家としての資質に欠ける。

私をおとしめる発言を含め、理不尽なやり方に屈するわけにはいかない」と反論。

その後決定的となったのが、11月の大村知事の「(公約の)減税をやめます」発言。

 

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大村知事のバックにある財界、特にトヨタの意向が大きかったとみられ、

県民税の10%減税をしない代わりに、自動車関連の税をなくした。

その後も、大村知事は河村市長に内緒で『三都連合』を言い出し、

東京都の石原慎太郎知事、大阪市の橋下市長との会談を頻繁に行った。

このときも、河村市長は「事前になんの相談もない」と、大村知事に不快感を露にしていた。

当時石原知事は名古屋市に「減税する余裕がどこにあるのか。

国民もそんなものに付和雷同するのはバカだと思う」と発言。

消費増税を容認する構えの石原知事との政策の距離は大きく、

河村市長としては絶対に乗れない相手だった。

そもそも、地元テレビ局の政治部記者は、

「大村さんは東大卒の元官僚で、自民党から出馬して当選を重ねてきた、いわば挫折知らずの人。

一方の河村さんは、本人いわく『どん底人生』で、弁護士を目指すも司法試験に9回失敗して断念し、

政治家秘書からの叩き上げでここまできた人。支援者層も全然違う。

大村さんはトヨタ自動車をはじめ財界がバックについている。河村さんの支援者は庶民層です」

地元ではなるべくしてこうなったと受け止められていた。

 

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河村市長が一度は芸術祭のために支出すると決めていた約1億7100万円の「負担金」。

議論した第三者検証委員会(座長=山本庸幸(つねゆき)・元最高裁判事)は、

市の未払い分約3400万円の「不交付はやむを得ない」とする報告書を提出した。

これを受け、河村市長は未払い分を「支払わない」と明言。

検証委の「不交付容認」の理由は、不自由展の中断と再開を決めた際、

芸術祭実行委員会会長の大村知事が会議を開かず、

会長代行の河村市長の発言の機会を奪ったことと説明。

ただ、委員5人の意見は当初から割れ、「不交付容認」に対し、

名古屋高裁長官の中込秀樹氏が、「事業は中止・廃止されることなく完了した」、

美術批評の田中由紀子氏も「あまりにも狭量」と反対した。

最後は座長も議決に加わり、3対2で決したが、議論は平行線のままだった。

一方、文化庁は3月23日、全額不交付としていた補助金を、約15%減額して交付すると発表。

理由として「会場の安全を脅かす事態が想定されていたのに申告しなかった」と、

県が認めてきたことを挙げた。

実行委員会(会長=大村知事)は未払いとなっている、

負担金約3300万円の支払いを求め,5月21日、名古屋市を提訴。

8月5日、訴訟の第1回口頭弁論が5日、名古屋地裁で開かれた。

市側は請求の却下と棄却を求め、争う姿勢を示した。

 

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新型コロナウイルス対策の記者会見で同席した河村市長と大村知事。

融和ムードを醸し出していたが、両者の笑顔は引きつっていた。

現在、県議会では総額約719億円の新型コロナウイルス対策費を盛り込んだ補正予算案などを審議中だ。

名古屋市議会でも70億円余の新型コロナ対策費について審議が続いている。

県議会を巻き込もうとする河村氏の行動には批判的な声が相次いでいる。

市議からは「コロナ禍に市長がやることではない。」

「選挙で選ばれた者が、選挙で選ばれた者にやる話ではない」

「なぜよその自治体に首を突っ込むのか。よほど重大な覚悟、決意を持って行動に出たのだろう」

などの意見が相次いでいるようだ。

いずれにしろ、県民市民にはいい迷惑だ。