政府、日本学術会議徹底抗戦へ。
「金を出すのだから言うことを聞けは時代錯誤もいいところ」
国会でも日本学術会議が推薦した会員候補の任命拒否問題に関する質問が相次ぎ、
閉会中審査が行われた衆院内閣委員会では、拒否の理由を問われた政府側は、
「法に基づいて任命した」との答弁を繰り返し、
野党議員らは「壊れたレコードみたいだ」と怒りをあらわにした。
拒否された6人の実績に触れ「なぜ選に漏れたのか」「理由を説明すべきだ」と問いただすと、
内閣府の大塚幸寛官房長は「総合的、俯瞰的な観点から日本学術会議法に基づいて、
会員の任命を行った」などと、菅総理同様、理屈にならない答弁に終始した。
世耕幹事長は、6日の記者会見で、菅総理は「極めてきちんと説明した。
政策に関して単純な前例踏襲は認めないのが、菅首相の政治姿勢そのものだ」と述べた。
しかし、前例踏襲を認めないだけで6人が生贄になったとしたら、たまったものではない。
広い視野に立って活動を進めていただく必要があるということ」との説明を加えた。
業績だけではない何らかの要素を考慮して菅総理が人選したことをあんに認めた。
自民党の下村博文政調会長は「日本学術会議」のあり方を検討する、
プロジェクトチームを新設する方針を表明。
日本学術会議の予算規模の総額は約10億5千万円で、
「人件費などを含む政府・社会などに対する提言」で2億5千万円を計上しており、
「各国アカデミーとの国際的な活動」で2億円。
その他として「科学の役割についての普及・啓発」と
「科学者間のネットワーク構築」でそれぞれ1千万円だが、
「事務局人件費・事務費など」で5億5千万円としている。
また昨年度の決算では会員手当として約4500万円、
あまりにもかかり過ぎだと言わんばかりだが、
それを言うなら78億円の機密費はどうしたと突っ込みたくなる。
事務局人件費と教授たち会員は別で、会員手当として約4500万円を200人で割れば、
年間22万5千円。
日本学術会議事務局自らがおこなっていることから、
正当な評価がなされていない団体のようだとも語っている。
菅政権は徹底的に抗戦する構えのようだが、任命問題と機関のありようは別物。
それはそれで精査すればいい。大賛成だ。
しかし、その前に、まず、任命取り消しの正当な理由を説明するべきだ。
それができない人間に精査される機関はたまったものではない。
理由もなく変更されたとしたら、一般社会なら不当で訴えられる。
結局は圧力をかけて、黙らせようとしているようにしか見えない。
安倍政権時代の首相官邸が、105名の候補を決定する前に、
それより多い候補の名簿を示すよう求めていた。
そもそも、国が予算を出すのだから国の言うことを聞けというのは時代錯誤もいいところ。
先進的な発言をしても、根本は古臭く変わらない人たちだ。
一見正当な意見に聞こえるが、民間でさえ、金は出しても口を出さない機構は増えている。
金を出したんだから言うことを聞けと迫ったら、民間でも大問題となる。
「悪しき前例主義」を打ち破るために、何の根拠もなく6人を排除したならば、
それは、単なる生贄に過ぎない。
スケープゴートで政策を行えば、それは悪政以外の何ものにもならない。
多数の菅擁護派が、ことを広げて話を希薄化しようとしているが、相変わらず単純な話で、
総理が任命否認の理由を述べればいいだけのこと。
それができないのは、正当な理由ではないから。それだけだ。