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新型コロナ、飛行機、ホテルでの感染、旅行は要注意。

昨年9月にニュージーランドで起きたアウトブレイク(集団感染)は、

飛行機の機内とホテル廊下などで拡がったものと判明した。

周知のとおり新型コロナは、大人数が密集する空間で感染の危険性が高まる。

飛行機は比較的感染がしにくいと、航空各社や専門家などは安全性をアピールしてきた。

その裏付けとなるしくみは、ジェット旅客機は外気を取り込み、

常に新鮮な空気をキャビンに供給しており、機内全体の空気は2〜3分で入れ替わる。

しかし、機上でのコロナ感染は散発的に発生している。

このたびニュージーランドで調査が完了した昨年9月のアウトブレイクも、

機内感染が引き金になっていたことが判明した。



昨年8月27日、インドで深刻化する新型コロナ感染を受け、ニュージーランド政府は、

現地で足留めされている自国民の帰還手段を用意した。

大型ジェット機ボーイング747をチャーターし、フライト自体は計画通りに運んだ。

コロナ対策も万全に思われた。

機内ではマスクの着用が義務づけられ、互いに物理的に距離を取るという徹底ぶりだった。

帰国後は指定ホテルで2週間の隔離を実施。

しかし、機上ではすでに感染が起きていたのだ。

ホテル隔離中にも新たな感染が起きるなど、計13名の感染が判明した。

新型コロナ対策の成功例と称賛されるニュージーランドでは、もともと感染者数が非常に少ない。

昨年8月ごろには第2波に見舞われたが、その真っ只中でも1日あたりの新規感染者数は,

国全体で最大14名程度だった。

ニュージーランドの研究者たちは、この感染について詳細な調査を行った。

結果がこのほど医学学術誌の『イマージング・インフェクシャス・ディジーズ』上で発表された。




オークランド地域公共保健サービスで保健部長を務めるニック・アイヒラー医師らが調査に参加。

感染者から採取したウイルスのゲノム(遺伝情報)を解析し、

変異内容を辿ることで、誰から誰へ感染したかが明らかになった。

まず、国際便の機上で、互いに近いシートに座っていた旅客同士の間で感染が起きた。

感染者Aを中心として、Bはその2列後方、Cは2列前方という座席配置であった。

このうちCについては解析結果と座席配置より、Aから感染したものとほぼ確定している。

AとBについてはゲノムに差がなく、どちらかが他方に感染させたのか、現時点で特定できていない。

機内では徹底したウイルス対策が取られていた。

問題のチャーター便の搭乗率は35%ほどで、空席の方が多いという状態だ。

機上感染していたCは、隔離後すぐのPCR検査では陰性だったが、

隔離12日目に行った2回目の検査の時点で陽性反応を示している。

すぐに他の宿泊者と離れた場所に移されたが、

近くの客室で同じく隔離生活を送っていたDとEにウイルスが拡がる結果となった。

DとEは感染に気づかないまま、南島から北島のオークランドへと国内チャーター便で移動する。

このとき、機内で二人の1席前に座っていたGが感染した。機上感染のさらなる事例だ。

Gが感染に至った国内便の飛行時間はわずか85分。

短距離の国内便であっても感染リスクはあるということになる。

ホテルでは前述のように、すでに国際線機内で感染していたCから、DとEが感染。

DとEは親と乳幼児で、互いに同室している。しかし、Cの部屋とは別の宿泊室であり、

本来ならばウイルスは及ばないはずだ。

どの部屋にもバルコニーはなく、両者が偶然同じタイミングで外気を吸ったということもあり得ない。



今年3月になって、アウトブレイクの経緯を追ったアイヒラー医師たちが、

ホテルの廊下を通じてウイルスが流入した可能性が高いことを突き止めた。

隔離生活の12日目、Cは自室内のドア付近でPCR検査を受けている。

後に陽性と判定される、まさにその検査だ。検査担当者はCの部屋を出るとドアを閉め、

廊下の監視カメラの映像によると50秒後に、D・Eの部屋を訪れた。

比較的短い時間の間に双方のドアが開閉されたことで、

廊下を経由してエアロゾル感染、ないしは空気感染が起きたとアイヒラー医師たちは考えた。

現場を検証したところ、Cが宿泊していた部屋は廊下よりもわずかに気圧が高くなっており、

室内の空気が廊下側へ流出しやすい状態となっていたことが確認された。

米CNNは、「患者を隔離する努力にもかかわらず、問題の新型コロナウイルスは、

国際線、ホテルの廊下、そして家庭での接触へと拡がった」と報道した。

保健省が追跡と封じ込めに失敗していれば、市中感染に至っていた可能性も否めない。

旅客機に、ホテル、ホテル廊下にと、旅行にまつわるリスクを改めて示す形となった。

​そして、ニュージーランドの感染対応の鋭敏さも日本は見習うべきだ。