「パソナ」の純利益が前年の10倍以上、営業利益も過去最高に!
東京五輪と政府のコロナ対策事業を大量受注、巨額中抜きの結果か?
パソナグループは「人材サービス」カテゴリーで「東京2020オフィシャルサポーター」として、
東京五輪組織委員会と2018年に契約を締結。
一方、会場運営を支えるスタッフの多くは派遣であり、
5月26日におこなわれた衆院文科委員会での立民・斉木武志衆院議員の質疑によると、
「パートナー契約では、人材派遣サービスはパソナにしか許されていない。
43会場の派遣スタッフを頼むときはパソナに出さなくてはならない契約になっている」という。
パソナのHPに掲載されている東京五輪大会スタッフ(職員)の募集概要によると、
責任を担うマネージャーでもスタッフでも時給は1650円(深夜時間帯は125%の割増賃金)で、
日給にして約1万2000円ほど。
1日42万円のディレクター職で、実際には日当1万2000円しか支払われないのだとすれば、
パソナの中抜き率は97%になる。
パソナは、菅総理のブレーンである竹中平蔵氏が取締役会長を務めている企業。
つまり、東京五輪も結局は菅総理に近いお友だち企業が甘い汁を吸うという、
安倍政権同様の構図になっているのだ。
パソナグループの2020年5月期の純利益は5億9400万円だったが、
今年4月13日に同社が発表した2021年5月期の純利益の予想額は62億円。
増減率としては前期比約940%のプラス、前年の10倍強の数字になると見込まれている。
2021年5月期の連結営業利益は過去最高益となる前期比65%増の175億円にのぼる見込みで、
売上高も従来予想から40億円引き上げた3300億円になると見られている。
新型コロナの感染拡大にともなう緊急事態宣言の発出によって多くの企業が大打撃を受け、
コロナの影響で倒産した企業は1500社(帝国データバンク)にものぼり、
今後、宣言延長によって倒産件数はさらに増加すると見られている。
安倍・菅政権によるコロナ対策の失策によって、多くの企業と国民が苦境に立たされているなか、
安倍・菅政権にべったりくっついてきた竹中氏率いるパソナは、前年の10倍強という利益を叩き出したのだ。
パソナが連結営業利益で過去最高益を叩き出した理由について、
間接業務を請け負うBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)事業が伸びている。
事業を請け負い、右から左へ流し、中抜きで利益を得る。
「持続化給付金」事業では、769億円で受託したサービスデザイン推進協議会が、
電通に749億円で再委託し、そこから電通は子会社5社に645億円で外注。
さらにそこから電通子会社がパソナやトランスコスモス、大日本印刷などにトータル417億円で外注。
パソナへの外注費は約170億円。
そもそもパソナは、サービスデザイン推進協議会の設立時から、
電通やトランスコスモスなどとともにかかわっており、職員21人のうち5人がパソナからの出向者だった。
しかも、サービスデザイン推進協議会は、これまでトータルで14件の事業を経産省から委託され、
再委託先が公開されている9件のうち7件は電通で、残り2件の再委託先はパソナ。
欠陥が見つかったワクチン大規模接種センターのシステム運営も、
竹中氏が顧問を務める「マーソ株式会社」。
竹中氏は国家戦略特区諮問会議で民間議員を務めているが、
2016年に国家戦略特区に認められた神奈川県の家事支援外国人受入事業では、
事業者に選ばれた企業のなかにパソナがあった。
また、同じく国家戦略特区に選ばれた兵庫県養父市では、
企業による農地の所有を認めるなどの規制緩和がおこなわれたが、
そこには、竹中氏が社外取締役をつとめるオリックスが100%出資する、子会社の「オリックス農業」が参入。
利益誘導・利益相反だという批判を無視しつづけて、
自らが関係する企業を、次々と政府の事業に参入させてきた竹中氏と、それを良しとしてきた政権。
そして、その代表的な会社であるパソナは、新型コロナ対策を食い物にし、
東京五輪の開催による中抜きで、「純利益10倍強」という数字を達成しようとしている。
この異常な一人勝ちの数字こそが、安倍・菅政権の国民を無視した、縁故主義、利権政治なのだ。