立件民主党の斉木武志 議員は委員会で、
内部資料<TOKYO2020 パートナーカテゴリー>に基づいて、
スポンサー保護の項目が定められていると明かし、
次のように質問した。
「例えばソフトドリンクはオフィシャルスポンサーのコカ・コーラ。
アルコールはアサヒビールと縛りがあります。
人材サービス分野はパソナグループとリクルートホールディングス。
人材派遣はパソナにだけというパートナー契約ではないか」
組織委の布村幸彦副事務総長は「一般論としてはその通りです」と認めた上で、
「組織委の約4000人の3分の2の職員は、国や東京都、スポンサー企業などからの出向であります。
残りの3分の1はパソナから優先的に派遣されています。
しかし、大会運営業務委託は専門性もあり、パソナ以外のところからも派遣してもらっている」と回答。
パソナグループは五輪スポンサーで、人材派遣サービスとして優先されているという。
大会運営業務委託は43会場で契約されており、契約者として、
東急エージェンシー以外にも、電通や博報堂など大手広告代理店が名を連ねる。
組織委がパソナグループ以外から人材派遣サービスを受ける場合、
「パソナグループでないところから派遣を受ける旨、組織委に書面で承諾を受けないといけない」と、
斉木議員は暴露した。
また、委託費が高騰する理由も、
「大会運営業務委託が入札ではなく、随意契約、1社独占になっているからではないか」と指摘。
パソナグループの<パソナから東京2020で働く>という、人材募集のホームページを見ると、
競技会場運営という分野が記されている時給は1650円、1日あたり実働7時間45分とあり、
日給約12700円となる。
「そういう業務を東急エージェンシーはディレクター一人、日給20万円で請求。
管理費、諸経費を入れると24万6千円。中抜き率は95%。こんなに抜いている。
まさに五輪ビジネス、随意契約の弊害だ」と、憤った。
それに対して組織委の布村氏は「人件費単価で契約しているのではない。
記載の単価は業務やバックヤードなど関係部門の経費も含む」と反論したが、
民間事業者との契約だとして、詳細な説明は拒んだ。
パソナグループの会長は、小泉政権時代に総務大臣などを歴任した竹中平蔵氏だ。
菅総理は竹中氏が総務大臣時代に副大臣を務めており、
竹中氏は現在、菅総理の有力ブレーンの一人。
組織委員会の幹部はこう語る。
「また竹中さんのパソナグループ、政府御用達の電通かと叩かれるとやりにくいね。
このような契約書が表に出て金額が露出してしまうと頭が痛い」
竹中氏は、先日報告した、防衛省が運営しているワクチン大規模接種センター(東京)の、
予約システムを手掛けたマーソ社の経営顧問も務めている。
「コロナ禍における持続化給付金の事務手続き業務の時も、実質的には電通が主導して、
最終的な現場仕事はパソナグループがやっていた。
東京五輪も同じような構図で、民間ボランティアや国民をバカにしている」と、斉木議員は断じた。
菅総理は、内閣の柱として、竹中氏を中核とする「成長戦略会議」なる組織を設置した。
しかし、ここへ来て竹中氏が各方面から批判を浴びている。
「日本をミスリードし、日本の富をアメリカに貢いできた」
「竹中氏が主張するベーシックインカムは、経済オンチ」
評論家の佐高信氏は、竹中氏を「弱肉強食の新自由主義者で、危険極まりない」と批判。
数学者で作家の藤原正彦氏は、竹中氏を「学者でも政治家でも実業家でもない疑惑の人物」と批判。
大宅壮一ノンフィクション賞を受賞した佐々木実氏も、竹中氏を「日本で最も危険な男」と描いている。
小泉内閣は小さな政府に転換し、それを仕切ったのが竹中氏。
スローガンは「痛みを伴う構造改革」で、人気者だった小泉総理に少なからぬ陰りが出た。
さらに、日本の企業は正社員をリストラできないので、
非正規社員を雇用できるように法改正した。
そして今は、正社員も切りやすいように法改正している。
竹中氏のやっていることは、小さい政府、大きい政府などという話ではなく、
たんに、自分たちに利益を回すことしか考えていない。
そのためには、誰にでも日本を売り渡す。
まさに「危険極まりない」男なのだ。