全国保健所長会などから、感染症指定医療機関などでの対応が必要となる現行の扱いは、
病床のひっ迫を招く一因との指摘が出ており、季節性インフルエンザ並みに移行するよう要望。
感染症法には、感染力や致死率などをもとに1~5類と「新型インフルエンザ等」の主に6つの類型がある。
1類に近付くほどより厳しい措置がとられる。
新型コロナは現在「新型インフル等」の類型に位置付けられ、
自治体や医療機関は、結核などの2類相当、あるいはそれ以上の厳格な対応をしている。
具体的には、症状がない人も含めた入院勧告や就業制限、濃厚接触者や感染経路の調査などだが、
いまは、感染拡大している地域では、ほとんどが余裕がなく実行されていない状況だ。
全国保健所長会は今年1月、厚労省に「特別な病気とのイメージが広がり、
診療拒否など地域医療体制のバランスを崩しかねない。
新型インフルとは異なる疾患と丁寧に説明してほしい」との意見書を提出。
それにしても遅い意見書だが、厚労省に言わされたのだろう。
田村憲久厚労大臣は7月の記者会見で、
「感染症法上の位置づけをどうするか当然考えないといけない」と見直しの検討を表明。
厚労省は感染症法上の運用の変更は臨機応変に可能とし、見直し作業に着手。
体制が整ってからの見直しではなく、手に負えなくなってからの見直しは危険をはらむ。
毎年流行するインフルエンザが対象となる5類に移行することになれば、
入院勧告や感染者の隔離なども不要になり、自治体や医療機関の負担は大幅に軽減されるとみている。
しかし、新型コロナ感染者がどこのクリニックでも受診できるようになれば、
感染はさらに拡大し、院内感染も増える可能性がある。
そして、国民の金銭的な負担も増える。
病状が急変しやすい新型コロナの特性や新たな変異株の懸念は尽きない。
普通のクリニックで対応できるのか。
ワクチンや特効薬の開発など、環境が整ってから見直すのが現実的ではないのか。