ロシアでは、ウクライナでの戦争に力を注ぐ一方で国内問題を無視しているとして、
プーチンに対する非難の声が高まっている。
自宅で暖房が使えないと不満を漏らす人々もいると、Daily Beastは報じている。
2月にロシア軍が始めたウクライナ侵略にプーチン大統領がいくらつぎ込んだのか、はっきりとした金額は分からない。
フォーブス・ウクライナは11月下旬、ロシアがこれまでに約820億ドル(約11兆1100億円)使ったと試算している。
これは年間予算の4分の1にあたる。
戦費はかさむばかりで、戦いを続けるには少なくとも月に100億ドルかかると、フォーブス・ウクライナは伝えている。
また、動員されたロシア兵が訓練もほとんど受けず、装備も乏しい状態で配備されているとの報道は、
ロシアの人々のさらなる批判を招いた。
ロシア軍がウクライナのインフラ施設を攻撃し、多くの人々を停電に追いやる一方で、
ロシアの人々も西側諸国の制裁を受け、生活を維持するのに苦戦している。
ロシアの人里離れた地域 は生活条件が厳しい。
自宅で暖房が使えないことや破裂した水道管について不満を漏らしていると、SNSへの投稿をもとにDaily Beastは報じている。
中でもチュメニやヤクーツクといった地域は深刻な状況で、この1週間で凍死する人が相次いでいるという。
「一家の唯一の稼ぎ手である若い男性が連行され、棺に入って送り返されています。
彼らが前線で凍え、病気になり、命を落とす一方で、その家族は貧困生活を送っているのです」と、
兵士の母親委員会のバレンティーナ・メルニコワさんは語った。
「当局は人の命にもはや関心がないようです」とメルニコワさんは付け加えた。
シベリア在住のロシア人ブロガー、ニコライ・ゾロトフさんは、
「暗黒時代です。ウクライナは暖房や照明なしで何とか生き抜こうとしています。
ここハカシアでは生活が恐ろしく困難になっています」と訴える。
「政府がウクライナの特別軍事作戦に大金をつぎ込む一方で、人々は整備の行き届かない都市で、
わずかばかりの給料で生活しているのです。食べ物を買うお金もありません」とゾロトフさんは憤る。
‘@部分動員令を受けて多くの働き盛りの人や若者がロシア国外に脱出した。
地元メディアが報じたところによれば、首都モスクワ市の男性職員の3分の1近くが、
部分動員令の発令から1カ月近くで国外に逃れたという。
ロシアの隣国であるジョージアには、多くのロシア人の若者が詰めかけている。
部分動員令の発令はロシアの経済に大きな悪影響を与えた。
ロシア中銀は報告書の中で、9月末に景気が悪化したことを認めている。
いつ何時、召集されるかもしれないリスクに直面すれば、家計や企業のマインドは望めず、
ロシアの経済活動は萎縮したままの状態が続くことになる。
国外に脱出した若者はロシアに帰国する展望も描けない。
今後も戦争が続けば、ロシアは軍需品の生産を優先せざるを得なくなる。
そうなれば日常品の生産は後回しになり、モノ不足の問題に拍車がかかる。
さらに徴兵が強化されれば人手不足になり、生活に必要なサービスの提供も滞る。
戦争が続けば続くほど、ロシア国民の生活も厳しさを増すことになる。
戦場での敗北が続く中、ロシアはイランや北朝鮮、シリアといった国々からの支援を求め始めた。