培養未使用のヒト「ミニ脳」移植で老ラットの視覚中枢の脳損傷を修復する初の実験に成功。
人間の脳のミニチュアモデルである「脳オルガノイド」を実験室で製造し、
これを生きたラットの脳の損傷部分を修復するために使用するという初の実験が行われた。
将来的には、この脳オルガノイドを用いて人間の脳の修復もできるようになる可能性がある。
脳オルガノイドをラットの脳に移植するという実験に挑戦したのは、
ペンシルベニア大学ペレルマン医学部で神経外科の助教授を務めるハン・シャオ・イザーク・チェン氏らの研究チーム。
実験結果は2日に、幹細胞研究に焦点を当てた科学誌・Cell Stem Cellで発表。
人間の幹細胞から成長させた脳オルガノイドをラットの視覚野に移植することに成功。
研究チームは異なる種類の細胞を生み出すことができるヒト幹細胞の一種から、脳オルガノイドを培養。
80日間にわたり、科学的合図を用いて幹細胞を誘導し、
ヒトの大脳皮質にみられる多くの種類の細胞を含む三次元のかたまりを生成。これが脳オルガノイド。
大脳皮質には6つの層があるが、80日目には実験室で培養した脳オルガノイドに、
大脳皮質で見られるような初歩的な層が形成されていたとしている。