中国の軍事研究チームが、核攻撃の放射線に耐性を持つ「スーパーソルジャー」開発へ。
極度の高温や低温にも耐え、秒速825メートルで射出されても生き残ることが報告されているクマムシは、
高線量の放射線にさらされても生き延びることができるとされている。
中国の軍事医学研究者チームが、クマムシの遺伝子を人間の幹細胞に挿入し、
放射線に対する耐性を大幅に増加させたと報告。
世界中の水中やコケの上などに広く生息することが確認されている、体長50マイクロメートル～1.7ミリメートルの微生物であるクマムシは、
乾燥などの厳しい環境に身を置かれると、自らの体を縮めて生命活動を停止（クリプトビオシス）させる。
この状態のクマムシは、セ氏マイナス約200度から約150度という極低温や高温、
強力な圧力下や高線量の放射線にさらされても耐えることができるという。
中国・北京の軍事科学アカデミー放射線バイオテクノロジー研究所のウェン・ユエ氏らの研究チームは、
クマムシのクリプトビオシスに関連する遺伝子を人間のDNAに挿入する方法を見つけたことを報告。
ユエ氏らの研究チームによると、実験室での実験において、クマムシの遺伝子を挿入した人間の幹細胞に、
致死量のX線を照射した際に、約90％の幹細胞が生き延びたとのこと。
匿名の研究者は「クマムシと人間の遺伝子の大きな違いを考えると、これは驚くべき結果です」と語る。
だが、人間の幹細胞に移植した際の免疫応答は不明で、安全性の問題につながる可能性があると指摘。
研究チーム、クマムシの遺伝子を挿入した細胞を骨髄に移植することで、
放射線耐性のある新しい血液細胞を生成することが可能になるとしている。
さらにクマムシの遺伝子を挿入することで、がんや老化、糖尿病、炎症、パーキンソン病などの、
多くの病気の発症に関わる酸化ストレスに対して細胞のDNAを保護する役割を果たすことが可能という。
研究チームは「クマムシの遺伝子は、人間にさらなる利益をもたらす可能性があります」と未来を見据える。
一方で、匿名の科学者は香港の日刊英字紙のSouth China Morning Postに対し、
「今後企業からの資本が入ってさらなる研究が行われた場合、社会に悪影響を及ぼす可能性があります」と指摘。
