京都大付属病院は24日、細胞から人工的に組織を作る「バイオ3Dプリンター」を使って、
指などの神経を損傷した患者3人の神経再生に成功したと発表。
3Dプリンターで作ったチューブ状の「神経導管」を患部に移植する臨床試験(治験)の結果、
3人とも知覚神経が回復し、仕事に復帰したという。
研究チームは再生医療ベンチャーが開発した3Dプリンターを活用。
勤務中のけがで指や手首の神経を損傷した20~50代の患者3人の腹部の皮膚細胞を、
約2カ月間培養して神経導管(直径2ミリ)を作成し患部に移植した。
1年間経過を観察した結果、3人とも手の知覚神経が回復し、仕事に復帰。副作用や合併症は認められなかったという。
現在は主に患者自身から健康な神経を採取して、患部に移植する治療が行われているが、
採取部位に痛みなどが残ることが課題だった。
研究チームの京大病院リハビリテーション科の池口良輔准教授は、
「末梢神経の損傷で苦しむ患者の治療法の一つとして、社会復帰につなげたい」と話した。