住民主体の地熱発電所、年6億円の売電収入。
日本初、住民主体の地熱発電所。全30世帯の出資で年6億円の売電収入。
熊本県小国町西里の岳(たけ)の湯地区。温泉だけでなく、より深い地下に眠る熱資源を資源として、
活用できないかと10年ほど前に住民がのり出した。
地区の全30世帯が出資者となり「合同会社わいた会」を設立。
発電所の運用を「ふるさと熱電」と組んで2015年より地熱発電事業を開始。
現在は年6億円の売電収益をあげている。
日本で初めての、住民主体の発電所。
地区では高齢化が進み、温泉宿も跡継ぎがいない状況が深刻化。
まちの衰退を避けるために利用できるのは「この資源しかない」と住民が始めたのが地熱発電。
現在、わいた会には地区に暮らす全戸30世帯が加盟。つまり、地区の全世帯が合同会社わいた会の出資者。
住民全員で、年間約6億円の売電収入を得る発電所を運営。
その収益の2割がわいた会に入り、8割を業務委託費としてふるさと熱電に支払う。
小国町役場の政策課課長補佐の長谷部大輔さんは、
「発電業者さんに出力電力1kwあたり2,000〜3,000円の寄付金をお願いする協定を結んでいます。
わいた会の発電所は出力数が2,000kwなので、年に400万円いただいていて。
それが3年分たまって1,200万円ほどになっています。」
ほかの事業者でも売電が始まれば寄付を募る予定。
そのまま何ごともなく、協議会のお金が5,000万、1億円とストックされていけば、
よりまちのため、未来のために使っていける。
わいた地熱発電所の年間発電量は、約1,700万kwh。これは小国町と隣の南小国町の全世帯をカバーするくらいの規模にあたる。
実際に現地を訪れると、わいた地熱発電所は想像していたよりコンパクト。
タービンの入った建物は、面積にするとわずかテニスコート1枚分ほどの広さ。
現在、わいた第2発電所(4,995kW)の建設が始まったところだが、北海道でも地域共生型の地熱発電事業が立ち上がっているという。
わいた会に入る収益は、30世帯で分配する配当と、水路を整備したり、公民館を手直するなどに使われている。
昨年わいたには「地熱」を発信するフラッグシップショップとして、地熱を活かしたコーヒーショップ「地熱珈琲」もオープンした。
このわいたモデルを応用すると、生かすべきは地熱発電に限らないことに気づく。
全国を見渡すと、多くの〇〇組合が存在する。
こういった方々が主体感をもち、我々の企業が地域に寄り添い、地域の資源を地域の収益にし、
地域活性化を実現していくことができると思う。
地域資源を住民が主体となって、専門の事業者と足並みをそろえて生かし、また地域に還元していく。
わいたモデルは、その一つの大きなヒントになりそうだ。
※本記事は『greenz.jp』に同時掲載の(同著者による)記事の転載。
甲斐かおり ライター、地域ジャーナリスト
‘@以前から進言しているが、地域々に合った発電が出来るはずだ。
それを政府や自治体が後押しすれば、エネルギー問題の一助となる。
早急にやるべきだ。
大手のように土地を買い上げて自社で全部やるスタイルで、地域の反発も招く。
「ふるさと熱電」のように、地域に寄り添った対応が重要だ。