敦賀市在住のAさんが体験した「落とし穴事故」は昨年11月13日、鈴ケ崎トンネルのすぐ近くで発生。
福井県敦賀市近辺で’22年春に開通した市道西浦2号線鈴ケ崎トンネル付近。
Aさんは手前にある側溝に気づかず、車のタイヤがはさまって車が傷ついた。
側溝のフタは飛び飛びになっていた。
道路の左わきにある空き地に入るには必ずその側溝を横切るが、
入口には進入禁止や立ち入り禁止などの警告看板やポールも何もなかったという。
修理代は約60万円と高額なものに。
事故現場の道路を管理していた「嶺南振興局敦賀土木事務所」に、
あの場所の側溝のフタがなぜ外されていたのか質問すると、
担当者は、「フタを外したのは地元からの要望です。
釣り客がたくさん訪れて、道路沿いに何台も違法駐車をする。
駐車をしないよう側溝のフタを外してほしいという要望にこたえたものです」と回答。
側溝のフタを外してわざと危険な状態にして駐車をさせないようにしていたようだ。
後日、福井県の担当者より「わざと危険な状態にした」という発言を訂正する説明は受けたが、
結局、なぜフタを外していたかについては、いまだに説明はないという。
開通から2ヵ月、2022年5月に撮影されたストリートビューの写真には側溝にはまった際についたと思われる複数のタイヤ痕が写っている。
また、トンネルの入り口には駐車禁止の標識がかすかに見えるが、現場は駐停車禁止ではない。
Aさんは道路の欠陥による事故ではないかと考え事故の翌日、
福井県庁の土木部道路建設課にメールを送ったが、数週間経っても何の反応もなかった。
それで敦賀市役所など様々なところに問い合わせて、鈴ケ崎トンネル手前の側溝は福井県の管轄だと知った。
結局、事故現場の道路を管理している土木事務所の担当者と現場確認に行けたのは、事故から1か月半が経過していた。
そして、Aさんは担当者の指示によって、管理者である県知事へ損害賠償の申し立てを行う申立書を提出。
その後、Aさんのもとには申立書の提出から約2ヵ月経過した今年2月下旬にやっと損害賠償に関する連絡が、
福井県道路保全課の担当者から届いた。
保険会社の言い分は車の時価が支払いの最大なので『11万円』。
さらに(Aさんのケースは)ドライバーの前方不注意による事故だから7割の過失がある。
またあの場所は待避所ではない。
側溝は『道路構造令によって75cmの路肩の外側に設置されたものだからフタがなくても問題ない』と言われた。
33000円ほどの賠償額。
福井県の道路保全課は、「道路の保険で対応することになりますが、
金額については折り合いがついていないので再度検討しているところです」としている。
‘@法的には何ら問題はなく、保険会社が粛々と対応するということのようだ。
考えてみればフタの無い側溝は沢山ある。
そこが問題では無いのかも知れない。
ただ、保険会社も認めたということは、県側にも多少の過失はあるということか。