南アフリカで8月に開催される新興5か国(BRICS)首脳会議へのプーチンの対面出席が見送られた。
南アフリカ政府が、国際刑事裁判所(ICC)から戦争犯罪の疑いで逮捕状を出されているプーチンの出席を事実上拒否したとみられる。
ロシアは対面出席を認めるよう、南アに圧力をかけていた。
南ア政府は19日、プーチン氏のオンライン参加を発表。
6月にシリル・ラマポーザ大統領が訪露した際、プーチンと協議の上、「相互に合意」して決めたという。
南アはICCとも協議したことを示唆。
南ア政府関係者は20日のBRICS記者説明会で「国際法は順守しなければならない。ICCを脱退するつもりはない」と述べた。
南アはロシアの友好国だ。ウクライナ侵略を受けた昨年3月の国連緊急特別総会で、ロシア非難決議などの投票を棄権。
今年2月には合同軍事演習を開催した。
プーチンは対面出席により、ウクライナ侵略を巡り米欧と一線を画す新興国・途上国「グローバル・サウス」での影響力を誇示する狙いだったが、はしごを外された格好だ。
南アの決定により、主要20か国・地域首脳会議(G20サミット)を9月に開くインドは胸をなで下ろしたとみられる。
インドはICC非加盟で拘束義務はないものの、ICCは非加盟国に対しても、協力要請状を送ることが想定される。
インド政府は20日、G20全首脳に招待状を送ったと発表。
プーチンの出欠には言及しなかったが、南アの決定が先例となり、対面出席はほぼ絶望的だろう。
今後プーチンの外遊先は、中央アジアなど一部に限定されそうだが、元々多く外遊する人でなし。
対照的に、ウクライナのゼレンスキー大統領は今春以降、外遊を活発化させている。
欧州諸国は渡航用の航空機の便宜を図っている。
このまま多くの国がプーチンを避けるようになればいいのだが、中国などの影響もありそうもいかないだろう。