BRICS・新興5カ国首脳会議の今年の議長国である中国の招待を受け、
6月24日のオンライン首脳会議に飛び入り参加したアルゼンチンのフェルナンデス大統領は、
「BRICSの正式なメンバーになることを強く希望する」と予想外の発言を行った。
BRICSという名称はブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカの国名の頭文字。
2010年に南アフリカが加わり、現在のBRICSメンバーは5カ国となっている。
アルゼンチンの正式加盟が認められれば、12年ぶりにBRICSのメンバーは増えることになる。
ただ、アルゼンチンは西側諸国と対立する意図はなく、
ロシアのウクライナ侵略がもたらした食料危機に苦しむアルゼンチンは、
BRICSに正式加盟することで、中ロ両国の双方から支援を受け付けたい考えだ。
今回のオンライン会議に参加しなかったものの、
「サウジアラビアもBRICSへの加盟を前向きに検討している」との情報がある。
BRICSは中国とともに、ロシアが大きな影響力を持つ組織だ。
西側の制裁を受けているロシアは、今後BRICS諸国を巻き込んで経済活動などを行いたい考えだ。
ただ、中国やインドは西側との決定的な対立は避けたい。
特にインドは日、米、豪とともに構成する4カ国の枠組み(Quad クアッド)の一員。
インドは、対ロシアについては独自の立場を譲らない。
兵器輸入の約5割をロシアに頼っているインドは、米国の注意にもかかわらず、
割安になったロシア産原油の「爆買い」を続けている。
「中国包囲網」の点では他の3カ国と歩調を合わせている。
日本で言う所の是々非々。だが、一見真面そうに聞こえる是々非々では、まとまらない。
インドのジャイシャンカル外相は「中国との関係は正常でない」と主張。
中国が主導するBRICSの拡大の動きについてもインドは難色を示している。
ロシアにとって、中国とインドが衝突するのは良しとしない。
BRICSが空中分解でもすれば、大変なことになる。
西側諸国と対峙したロシアは、中国とインドの間の決定的な対立はなんとしてでも避けたい。
ややこしくややこしくして、稼ぎたい輩も存在する。
プーチンのウクライナ侵略で、冷戦時代よりもはるかに複雑なものになってくる。
先は見通せないというか、混沌としたまま続く可能性が高い。