1990年8月、イラクのサダム・フセイン大統領が率いる軍隊が、クウェートに侵攻して一方的に併合を宣言。
この両国に駐在していた多くの民間外国人は帰国を許されず、日本人も多数が留めおかれた。
日本政府はイラクやクウェートに働きかけたが、無力だった。
緊張は極限まで高まっていた。
結局、イラクで日本人46人(家族含む)が事実上の人質となった。
そこに、単身乗り込んだのが故・アントニオ猪木参議院議員だ。
90年12月にイラクで「スポーツと平和の祭典」というイベントを開催、政府の高官と会談して、「個人外交」を展開。
プロレスラーとして中東でも抜群の知名度とパオプのある猪木氏は、最終的にフセイン大統領と交渉をして、46人を全員救出。
「国賊」と批判を浴びながら猪木氏が動かなかったら、日本人の安全はどうなっていたのか。
その後も中東などで邦人が人質となった時に、わたしはもっと猪木氏を利用(いい意味で)しろと進言したが、政府は首を縦に振らなかったどころか反した。
今回の鈴木宗男参議院議員と猪木氏の行動は何が違うのか。
猪木氏には目的があったが宗男氏の目的は何なのか。
ロシア寄りの発言を繰り返す宗男氏がロシア訪問しても周辺国は訝るだけだ。
ましてや、宗男氏に戦争が止められるとは到底思えない。
故安倍晋三氏があれほどプーチンに擦り寄っても利用されるだけで終わった。
そして、ロシアがウクライナに侵略しても何もできなかった、しなかった。
宗男氏は参議院懲罰委員長の立場だ。
宗男氏は3月の本会議で会議に参加しないガーシーを最も重い懲罰の「除名」とし、国会議員の身分を失うまでの審議に携わった。
宗男氏が許可なしに渡航することは許されない。
パイプは必要だが腐ったパイプはかえって不利益を被る。