世界的にもドイツに抜かれた日本の影響力は、今後、下がっていく一方だといわれている。
原因はいくつかあるが、俺は日本の「労働時間=報酬」という考え方の影響が大きいと感じる。
昔ながらの企業では、効率的に成果を出しても給料は変わらず、逆に時間が余ったせいで、他の人より多く仕事を回されてしまうケースが少なくない。
そうすると、本来は5時間でできる仕事も6時間に延ばしてやったほうが、楽だし実入りがいい。
だから日本の生産性が低い(日本の労働生産性は27位、ドイツは9位)のも当然なんだよ。
その点で、ドイツはしっかりしている。無駄なく良質なものを作り上げる気質があるし、労働の成果に対してきちんと評価、管理されていることが多い。
それに、マイスター制度(専門的な技術を持つ最高峰の職人「マイスター」の育成を支援する制度)が機能しているから、人材の育成ができていて、仕事や技術の継承もうまくいっている。
例えばマルティーナは、若いときにホテルのコンシェルジュになるための専門学校に通っていた。
俺と出会ったときの彼女はレストランでアルバイトをしていたんだけど、学校で接客マナーやテーブルウェアの並べ方を習っているし、
ソムリエなんかの資格も持っているから、時給が普通のウエートレスの倍ぐらいあったんだよ。
日本のウエートレスはアルバイトだと、資格を持っていたとしても時給が変わらないところがほとんどじゃないか。
こうした日本的なシステムや考え方が、経済的な成長を鈍化させていると思う。
それに、日本はスパッと改革ができていない。デジタル化を進めている一方で古い慣習を捨てきれない企業も多く、いつまで経っても移行できず、逆に負担ばかりが増えているケースが少なくないんだよ。
個人の感想で言うと、40〜50代くらいの中間層の世代に「労働時間=報酬」という考え方が根強いと感じる。
日本の生産性を高めるには、もはやこの世代を切り捨てるしかないんだよ。だけど、現実的にはそうもいかないから、この世代が引退するまで待つしかない。
20年後、今の効率重視の若者が中心となれば、日本の名目GDPは上がるんじゃないか。
‘@的を得ているかどうかは別にして(わたしは当たっていると思うが)蝶野さんは頭の良い人なんだ。
ビックリしましたと言うのは失礼。