ロシアの侵略を受けるウクライナの調査研究機関「キーウ国際社会学研究所」が今月発表した世論調査によると、
「平和のために領土を諦めてもよい」との回答割合が19%で昨年5月のほぼ2倍になった。
ロシアの占領下にあるウクライナ東・南部の奪還を目指す反転攻勢が思うように進まず、 厭戦 ムードが少しずつ広まっているようだ。
「どんな状況でも諦めるべきではない」は74%。
地域別に見ると、ロシアの攻勢にさらされているウクライナ東部では「諦めてもよい」は25%で、「諦めるべきではない」が67%。
領土の放棄を容認する割合が他地域よりも高かったが、当然だろう。
ただ、「諦めてもよい」と答えた人の71%が、「西側の適切な支援があれば、ウクライナは成功できる」と回答しており、
ウクライナ国民が士気を保てるかどうかは、欧米の軍事支援次第と言えそうだ。
一方、ロ政府系の「全ロシア世論調査センター」の21日の発表によると、2024年に期待する出来事として、
ロシアでウクライナ侵略を意味する「特別軍事作戦の終結」が45%で最多を占めた。
「来年3月の大統領選挙」が26%、「経済成長と生活水準の向上」が13%と続いた。
今年の主要な出来事を問う項目では、「特別軍事作戦」との回答が22%だった。
昨年の62%から大きく下落しており、これは何を意味しているのか。
ロシア本土は攻撃されていないので関心が薄れているという事か。
ただ、物価高や品薄に悩まされているロシア国民は、「特別軍事作戦の終結」を半数近くの人が望んでいる。
侵略当初はうまくいかなかったのが、
長期戦を踏まえるとプーチンの思惑の方向へ進んでいる。
西側の支援が滞るとこの結果はウクライナにとって更に重くのしかかる。