私の進言、27日 >期待される「アビガン」の是非。
アビガンが新型コロナウイルスの救世主になる可能性がある反面、
副作用を踏まえたうえで、どんな患者にどのように使用するかなど、
クリアしなければならない課題は大きく、時間はかかりそうだ。
安倍総理が記者会見で名指ししてアピールした薬剤で、
早々と、アビガンを希望する各国に無償提供する方針を明らかにした。
現時点で約30カ国から提供要請があるというが、拙速だった気がする。‘@
安倍総理は28日の衆院予算委員会で、新型コロナ治療薬の有力候補とされる、
国産の「アビガン」に「特例承認」を適用できないことについて、
「政府内でも相当議論してきた。(新型インフル薬として)日本で承認されているのだから、
(適用できるのではないか)と私も言ったが、日本の法令上できない」と認めた。
アビガンはインフルエンザの薬だが、他の抗インフルエンザ薬と違い、
インフルエンザにかかった患者に病院ですぐに処方される分けではなく、
他のインフルエンザ薬が効かない時に、国が承認した場合初めて使える薬なのだ。
アビガン添付文書には、他の薬にはほとんどない「特殊記載項目」という項目がある。
本剤は、他の抗インフルエンザウイルス薬が無効又は効果不十分な
新型又は再興型インフルエンザウイルス感染症が発生し、
本剤を当該インフルエンザウイルスへの対策に使用すると国が判断した場合にのみ、
患者への投与が検討される医薬品である。
本剤の使用に際しては、国が示す当該インフルエンザウイルスへの対策の情報を含め、
最新の情報を随時参照し、適切な患者に対して使用すること。
新型又は再興型インフルエンザウイルス感染症に対する本剤の投与経験はない。
添付文書中の副作用、臨床成績等の情報については、
承認用法及び用量より低用量で実施した国内臨床試験に加え
海外での臨床成績に基づき記載している。
だから安倍総理は、「レムデシビル」を急いだのだ。
米製薬会社がエボラ出血熱の治療目的で開発した「レムデシビル」について特例承認を適用し、
国内最初の新型コロナ治療薬として利用可能にする方針を固めた。
総理は「特例承認はいくつか要件があるが、海外ですでに承認されたものについて、
日本で行うことができる」と説明。
そのうえで、アビガンについて「企業治験もスタートしている。
特例承認されなくても、患者自身が希望し、
病院の倫理委員会で認められれば使用できる」ことを強調した。
各国で行われたレムデシビルの重症の新型コロナ肺炎患者への、
コンパッショネート・ユース(未承認)での臨床試験のデータを集計したところ、
53人の患者の内、36人(64%)の患者で呼吸機能に改善が見られたとしている。
肝臓の損傷を示す肝酵素(ALT、AST)の血中濃度の上昇は、
今回の調査対象でも、53人中12人(23%)の患者で認められた。
これを含め、何らかの副作用が認められた患者は、53人中32人(60%)。
ギリアド社が中国で実施していた、レムデシビルの無作為抽出による、
初期臨床試験の報告書の草稿が、誤ってWHOのウェブサイト上に掲載され、
すぐに削除されたが、STATのスタッフは掲載に気づいて画像を保存していた。
この草稿によれば、コロナ肺炎患者237人のうち、158人をレムデシビル投与群とし、
79人を対照群(プラシーボを投与)として試験を実施したところ、
死亡率はレムデシビル投与群が13.9%、対照群が12.8%であり、
有意な差は見られなかったと報告している。
何が効いているのか、副作用はどの薬にもあるが、副作用の重大さは。
「アビガン」も「レムデシビル」も、利権がらみの裏の動きが見え隠れする。