核兵器の開発、保有、使用を禁じる核兵器禁止条約を批准した国と地域が、
23日時点で49に達し、発効の要件となる50まであと1つとなった。
条約の発効には50の国や地域の批准が要件となっており、
批准書や受託書を国連に寄託してから90日後に発効する。
NGOなどは年明けの実現を見込んでいる。
オーストリアなど条約の推進国と国際NGO「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)は、
23日にオンラインでイベントを共催。この中で、ジャマイカとナウルが新たに批准書寄託を発表した。
被爆者のサーロー節子さんは、「核兵器の終わりが本当に始まろうとしている。
立ち上がれなくなるほどうれしく、涙があふれてきた。ついにここまできて、
世界のとても多くの人たちが連帯した力を感じている」と述べた。
そのうえで「広島や長崎で亡くなった罪のない人たちに思いをはせている。
私は、他の被爆者と同じように、亡くなった人たちのことをむだにせず、
同じような苦しみを味わう人が二度と出ないようにするという誓いを立て、長年訴えてきた。」思いを述べた。
そして、「条約の前文には被爆者の文字が刻まれている。完全に核兵器がなくなるまで、
世界は危険にさらされていて安心できない。
私たち被爆者は核兵器が廃絶される日を迎えることはできないだろう。
しかし、条約があることでいつか核兵器が廃絶される美しい日を迎える。
廃絶を目指す新たな取り組みが始まる」と述べ、条約の意義を強調した。
ただ、関係者によると、条約に批判的な米国は一部の国に、
批准を取り下げるよう求める書簡を送るなど、圧力を強める姿勢を見せているという。
条約は、核兵器を非人道的な兵器として初めて法的に禁止した国際条約。
発効すれば、核兵器を違法とする初めての条約となり、核兵器の使用・保有のほか、
核使用を示唆して威嚇することも違法化される。
しかし、アメリカとロシア、中国などの核保有国やアメリカの核抑止力に依存する、
日本などの同盟国は参加していない。
日本は2016年に核兵器禁止条約の交渉の開始を求める決議案の採決で反対に回り、
2017年の条約交渉、そして条約自体にも参加していない。