「海外では、あれだけ感染者数が増えているのに医療崩壊していない。
比べれば、日本は感染者数が少ないのに、なぜ、医療崩壊するのか」
そんな疑問を口にする人がいる。
大きな勘違いだ。
海外は、医療崩壊しているから、重症者や死亡者が増えているのだ。
崩壊している中で医療従事者は戦っている。
だから精神を病む人も増えている。
その日、治療を断念したのは、50代の白人の男性。ほんの数日前までは元気だった。
コロナウイルスで持病が悪化し、あっという間に多臓器不全の危篤状態に陥った。
傍らで妻が泣き叫ぶ。
「これ以上、医学にできることはありません」
妻は医師に、そうはっきり告げられた。
医療崩壊を防ぐために軽症者は自宅療養となっている。
病院は重篤な感染者がほとんど。
人工呼吸器でかろうじて命をつなぐだけだが、十分な医療保険に入っていない人も多い。
国民皆保険の制度がないアメリカでは、集中治療室に一日いるだけで1万ドル、
100万円以上かかる場合もある。
だから医師のもと、「人工呼吸器を切る」という重い決断を迫られる家族が非常に多い。
日本では呼吸器は切らないが、その前に自宅待機などで死亡する人が増えている。
(合掌)