埼玉県狭山市では、およそ4600人が働くホンダ狭山工場が今年度いっぱいで閉鎖される。
従業員の大半は、約40km離れた同社の寄居工場へ転勤となる予定。
関東有数の工業団地を擁し15万人の市民が暮らす狭山。
関連企業や従業員の家族が納める税金を考慮すると、市の歳入およそ500億円のうち、
100億円近くが自動車関係とみられる(狭山市幹部)。
EV化当初から言われていたことだが、部品が少なくなり、民間でも製作可能となるEV車。
大手も統廃合を余儀なくされる。
EV量産の先駆者である米テスラは、製造拠点を分散させず、
電池もボディもモーターも巨大な自社工場で作る。
パーツはなるべく一体成形にして、工数を減らす。
機材を集約すればするほど効率が上がり、二酸化炭素排出量も減って、脱炭素の要求も満たせ、
一石何鳥にもなる。
日本も追いかけざるを得なくなっている。
栃木県真岡市北隣にある芳賀町には、ホンダエンジニアリングというホンダ子会社の、
オフィスと工場があったが、昨年4月に本社に統合され、他の拠点に機能が移された。
工場が閉鎖されると、そこで働く人がいなくなるだけではない。地域に大打撃をもたらす。
物流業者、倉庫会社、備品・消耗品・清掃など施設の関連会社。
従業員食堂や売店の管理業者に、周辺の飲食店などそれらが丸ごと消滅してしまう可能性もある。
岐阜県南部、愛知県との県境に位置する人口約8000人の坂祝町では、
この8月に三菱自動車の子会社・パジェロ製造の工場が45年の歴史に幕を下ろした。
工場では約1000人が働き、町の法人税収の30%以上を占めていたが、大黒柱が無くなった。
イギリスのジョンソン首相は10~11月に開かれたCOP26で、炭素を多く排出する石炭火力発電の全廃を訴えた。
発電量の3割を石炭火力に依存する日本。
政府はすでに出力の低い石炭火力発電所から廃止する方針を決めており、
山形県の酒田共同火力や、福島県の相馬共同火力が候補に挙がっている。
歌山市、呉市、北九州市の各高炉を今後数年以内にストップし、
関連会社も含めて1万人の人員削減を徐々に進める予定だ。
今後もこの統廃合と合理化の流れは止まらない。