記者の7年間の行動が丸裸に 自宅や職場、趣味まで特定される。
筆者のスマホのグーグルマップには昼間よく行く場所が表示されている
目的地までの経路を調べるときに便利なスマートフォンの位置情報機能。
GPSを使いスマホを持つ人の位置を特定する一方、訪れた場所は記録されている。
山岳遭難や行方不明者の捜索に活用されるが、警察は過去の位置情報を犯罪捜査にも利用している。
米グーグルの基本ソフト(OS)、アンドロイドを搭載したスマホでグーグルマップを使用している記者の、
7年間の足跡をたどると、登録した覚えがない自宅や職場、趣味まで記録されていた。
専門家はグーグルが大量の情報を集めていることが分かると指摘。(共同通信=澤野林太郎)
東大空間情報科学研究センターの柴崎亮介教授の協力を得て、
独自に作成したシステムで記者の位置情報データを分析し、可視化してもらった。
「あなたは××市〇〇町1丁目1の11に住んでいる。
(記者が勤める共同通信本社のある)汐留メディアタワーの職場によく行く。
週末は△△町で2時間45分フットサルをしている」
スマホ利用時に位置情報の機能をオンにしていると、毎晩いる場所が自宅、
昼間よく行く場所は職場だと判断される。
移動すると位置が変わり時間も記録されるため、出勤時間や帰宅時間に加えて、
週末に訪れる趣味のフットサル場まで分かってしまう。
出張や旅行の履歴も「6カ国41都市、うち国内は32都市を訪問」と正確に割り出す。
「16年から1年間は広島県に滞在」。確かにその期間は単身赴任をしていた。
住居侵入の疑いで書類送検された男性。
取り調べを受ける前、男性は捜査員からグーグルに記録された、
過去の位置情報などに関する利用を警察に許諾する内容の文書にサインを求められた。
「任意だから拒否できるけど、拒否しても裁判所から令状をとって捜査することになる」と捜査員。
選択肢はなかった。
男性はいつもグーグルマップを利用していた。「こういうことだったんだ」。
警察から返却されたスマホを見ると、提出時は満タンではなかった充電は満タンになっていた。
「おそらくスマホ中の情報は全部警察に渡ったのだろう」。
後日、男性は住居侵入の疑いで書類送検された。