「同調圧力」に屈せぬ。
奈良県の荒井正吾知事は、新型コロナの「オミクロン株」による感染急拡大が爆発的に続く中、
蔓延防止等重点措置は「効果がない」と主張、適用要請はしない考えを示した。
「第4波」「第5波」の検証から、飲食店の営業時間短縮と酒類の販売停止が、
感染者数の減少につながっていないと判断。
医療が逼迫するから飲食店を時短するというロジックが分からないと断じた。
同じ戦い方をしろよ、という「同調圧力」の空気がある。
同調すべきという日本の空気全体については冷静に判断しないといけない。奈良は追随しない。
「(要請を)出せ」という圧力を受けるのは政治家としては大変だが、
緊急事態宣言の連発より、医療体制の拡充が大事だ。(飲食店の)時短が病床数に関係するとは思えない。
感染症対策で最も必要なことはエビデンスだ。日常生活との両立を図る中で効果が少ないものは採用しない。
その際に求められるのが、複数の作戦の中で何が効率がいいのか、
どれが効果があるのかを検証する「オペレーションズ・リサーチ」の発想だ。
これまでの感染対策で、やった場合とやらなかった場合を比較して評価する。
薬の効果を確かめる実験でもそう。この観点でいうと、
奈良は緊急事態宣言の発令や重点措置を適用しなくても感染が収束した。
これが最大のエビデンスだ」と訴えた。
奈良県は大阪府の10分の1の感染規模だが、これまで飲食店に時短要請をしなくても感染は収束した。
日本人は自然災害には誇らしいほど冷静だが、感染症にはパニックになる傾向がある。
今は感染予防の4原則、マスク着用▽距離をとる▽換気▽消毒―を徹底することが大切で、
辛抱強く、用心して暮らしてほしい。感染の波は高くなったり低くなったりする。
行政としては重症者と死亡者を出さないことに最大の力を入れ、医療体制を維持していく」と語った。
あらい・しょうご 東京大法学部卒。昭和43年に旧運輸省(現国土交通省)に入省。
海上保安庁長官を経て平成13年に参院選奈良選挙区で初当選し、外務大臣政務官などを歴任した。
19年、奈良県知事選に初当選し現在4期目。
奈良県は30日、新たに817人が新型コロナに感染。
日曜日としては奈良県内では最も多く、一日の発表としては、過去3番目の多さ。
重症者は29日から2人増えて14人に。亡くなった人の発表はなし。