芥川賞作家の西村賢太氏が5日午前6時32分、
東京・東十条の明理会中央総合病院で急逝した。54歳。
4日夜タクシー乗車中に意識を失い、病院に搬送も心肺停止。
同日、KADOKAWA角川文庫と文芸春秋の担当編集者が報道各社に報告した。
「前日夜、赤羽から乗車したタクシーのなかで具合が悪くなり、
運転手さんが病院に運んだときには心臓停止。医師が蘇生を試みてくださいましたが、
再度の心臓停止となりました」と経緯を説明。死因は現在、王子警察署が調べているという。
「西村さんの遺族についても7日以降、警察で調査します」といい、
遺族が見つからない場合は、葬儀などの対応を北区に依頼することになるという。
「警察の調査中であること、ご遺族の意思が不明であることなどから、
現状お伝えできることは上記がすべてとなります」としている。
(読売、文化部次長 待田晋哉)
「無頼派作家」と言われた。だが、書くことには真面目で頼りになる人だった。
最後のやり取りは、西村さんが尊敬する石原慎太郎さんの追悼文をお願いした1日だ。
午後3時、1200字の原稿を5時半締め切りで頼んだ。
「15分待ってくれ」。5時半に携帯電話があった後、1分と遅れず、ファクスで届いた。
「動揺もあって汚くなって申し訳ありません」。原稿の表紙に手書きされていた。
2日朝刊の紙面を作り終え、お礼のファクスを送ると、急に不通になった。
寂しがりなのに、一人になりたがるところがあった。
‘@今の時代、もう現れないタイプの作家。
北野たけし氏(75)が5日放送の「新・情報7daysニュースキャスター」で、
西村氏との思い出を語った。
「西村さんは、受賞のときのコメントがおもしろくて、一緒に飲みに行ったんですよ。
はしごしたんだけど、三軒目に酔いつぶれて寝ちゃってあの人」。
その後、西村さんから電話で「すみませんでした。ちょっと体調が悪いんです」との連絡を受けたそうで、
たけしは「『体調が悪い』ってあの頃から言ってた。
今考えたら悪いことしたなと思った。けっこう体が悪かったみたい」と明かした。
(合掌)