プーチン大統領ドンバスに「軍の派遣命令」
ウクライナ情勢が緊迫の度を増すなか、
ロシアがウクライナ東部の親ロシア派が支配する地域の独立を承認。
この地域に軍の派遣を命令した。
プーチン大統領は21日、ウクライナ東部の親ロシア派武装集団が実効支配している、
ドネツク、ルガンスク両州の一部地域を近く「国家承認」する方針を固めたと、
独仏首脳にそれぞれ通告した。
独立承認の意向を事前に伝えることで、ウクライナに対し、
紛争解決に向けた「ミンスク合意」の完全履行に向けて、直ちに行動を起こすよう迫る狙いもあるとみられる。
その後ロシアは同日の安全保障会議で、
ウクライナ東部にあるドネツク州とルガンスク州の一部地域の独立について承認。
独仏は2014年にウクライナ東部で勃発した、
政府軍と親ロ派武装集団との紛争の和平協議の枠組みに参加している。
この2つの地域は、2014年に人民共和国として一方的に親ロ派が独立を宣言。
しかし、国際的に承認されておらず、独立を承認するよう21日にプーチン大統領に要請。
ロシアは、この2つの地域からの要請に従う形で、国境を越えて軍を遣命令を出した。
ウクライナ側の反発は避けられず、この地域で武力衝突が起きる恐れが濃厚だ。
米ホワイトハウスは21日、親ロ派地域における米国人による、
新たな投資、貿易、融資を禁じる大統領令を出すと明らかにした。
‘@ロシアのプーチン大統領とフランスのマクロン大統領は20日の電話会談で、
ウクライナとロシアが、全欧安保協力機構(OSCE)を交えた直接協議を21日に開催する方向で合意。
しかし、ウクライナ側の拒否により開催されなかった。
ロシアは14年3月にウクライナ南部クリミアをロシアに併合したが、
その後、ウクライナからの独立を一方的に宣言した親ロ派支配地域については、
併合や国家承認を避けてきた。
ロシアによる親ロ派への軍事支援は公然の事実とされてきたが、
ロシアは紛争の「当事者」ではないとの立場を貫いていた。
今やこの地域に住む約70万人はロシアのパスポートを発給されており、
複数の推計によるとその数は人口の20-40%に当たるという。
この地域の住民はクリミアに避難する人とロシアに避難する人に分かれる。
2014年9月に締結された「ミンスク1」は破られ、15年2月に「ミンスク2」がまとめられた。
新たな合意は13項目で構成されている。
問題解決の手順や政治的要件に関する文言は分かりにくいものとなっている。
今、親ロ派勢力が侵攻している地域は今のままにしておく。
そして、その地域で自由な選挙をOSCEが認めるところで、公正な選挙をやって政府を作る。
それでウクライナは特別の統治を認める。自治州あるいは自治共和国みたいなものになる。
問題は、ロシアが自国は紛争の当事者ではなく、そのため履行の責任を負わないとの立場を取っていること。
だが、ロシアはミンスク合意成立のための交渉を行っており、
ウクライナ側はロシアに履行義務があると主張している。
さらに困難にしているのは、ミンスク合意がウクライナの憲法を改正し、
ドンバス(ドネツク、ルガンスク両州)に特別な地位を与えることを規定している。
しかも、親ロ派が実効支配する「ドネツク人民共和国」「ルガンスク人民共和国」の指導者らとの、
「協議・合意により」行う必要があるとしている。
また、特別な地位を付与する地域の範囲が定まっていない。
親ロ派指導者は、ドネツク、ルガンスク両州の全域が含まれるべきだと主張。
ウクライナ政府は到底飲めない。
そもそもが、ウクライナ側は前の大統領ペトロ・ポロシェンコが決めたことで、今は違うと述べている。
ウクライナも一筋縄ではない。
プーチン大統領は綿密なシナリオを描いて着実に実行している。
実行するまでは時間をかけるが、時が来れば迅速に行動する。
中国と同じだ。
今回も、米やメディアが盛んに訴えていたロシアのでっち上げではなく、
揺さぶりながら「独立承認」という形での軍侵攻となった。
ロシアのドネツク、ルガンスク両州の実効支配が落としどころか。
世界は、強引に侵略するロシアを止められない事実をどう受け止めるのか。
こういう状況を見ると、安倍や高市が喜んで軍事増強を訴える。
しかし、自国は自国で守らなければいけない、そうすべきと思う人もいるだろう。
事実、きれいごとで済まない実態を見せ付けられている。
だとすれば、軍事費をいくらつぎ込んでも、日本はロシアや中国には到到底敵わない。
一般的な軍事装備では、もう抑止力にはならない。
手っ取り早いのは『核』ということになる。