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​「折りたたむ家」10坪で約580万円。

コロナ禍で高インフレが続く米国では、タイニーハウス(小さな家)などの低価格住宅への需要が増している。

ネバダ州ラスベガスを拠点に置く企業BOXABL(ボクサブル)による、

5万ドル(約580万円)のプレハブ住宅「カシータ」というモデルが話題になっている。

テスラ社のイーロン・マスクが住んでいると報じられたことも。



BOXABL社のプレハブ住宅は、1部屋(モジュールと呼ぶ、約35平米)に、

水回りや電化製品もすべて完備されているのに約580万円と低価格。

その秘密は、折り畳めるようにしたことで配送コスト、生産工程の自動化したことで生産コストを下げた。

2021年10月の受注開始以来、全米50州から7,000万件以上の注文が入っているという。

ボクサブルが採用したのは、自動車のオートメーション方式だ。

ポルシェの生産方式を真似て、まるで自動車工場のように、住宅を自動化してつくる。

最終的には、1分間に1戸を目標に生産を拡大する予定だという。



プレハブ住宅「カシータ」は、現在1日あたり2棟生産されている。

2022年の年末までに、1日あたり10棟の生産が可能な体制になる見込みだという。

現在は、フロリダの現役軍人用住居156棟の生産と建設を行っている。

「需要を満たすには、現在の工場の10倍の大きさが必要」と、はやくも拠点を拡大する計画を進めている。

「カシータ」は、375平方フィート(約10坪・約35平米)のモジュールで、

8フィート×13フィート(約2.4m×約4m)に折り畳まれて台車に引かれて運ばれていく。



料金には洗濯乾燥機、食器洗い機、オーブン、電子レンジなど、

ソファとベッド以外の主な家具が含まれていて、引き渡し時はそれらがすべて完備されている。

現地で住宅を“広げ”、排水と電気の接続さえ終えれば、すぐに生活が開始できる。

「カシータ」が使用しているのは、木材ではなく、鉄やセラミックボード、

断熱材として発泡スチロールなどの素材。

発泡スチロールは、軽量で硬質な「独立気泡」の断熱材であるため、最小限の水分しか吸収しない。

その結果、吹雪やハリケーン、洪水などの厳しい天候にも耐えることができるという。

さらに、最大25万ポンド(125t)の圧力に耐えることができ、耐震構造になっている。

猛暑や強風、地震、水害など、さまざまな環境条件に対応できるような建材を選び、

従来の建物よりも強く、安全で、エネルギー効率に優れた建物になるよう、

細心の注意を払ってつくり上げたと胸を張る。

「カシータ」は現在1種類のみだが、今後は顧客のニーズに合わせて、

サイズや形を変えた住宅生産も検討しているという。

さらに、海外展開も視野に入れている。

「海外では、私たちの技術を活用してパートナー工場をつくりたいと考えている。

すでにWebサイト経由で問い合わせを受けた国際的な大企業と話し合いを始めている」と話す。



とはいえ、まだまだ課題もある。米国の建築業界でも原材料不足と、価格の高騰が問題になっている。

これにともなってカシータの販売価格も、今後は6万ドル(約690万円)に引き上げざるを得ないと話す。

壁面パネルは自社生産している。スチールや発泡スチロールも自分たちで生産し、垂直統合を進めており、

最終的にすべての部品を自社生産に切り替えられれば、もっと生産スピードを上げられる」という。

自社生産に加え生産効率が上がれば、価格のコントロールもしやすくなるとのこと。

「カシータ」は災害があった被災地に、すぐに住みやすい住宅を提供することも可能だ。

ほかにも既存の物件の庭先に小さな個室を建て、趣味部屋にしたり、賃貸したりすることも可能だ。

その可能性は無限に広がる。

※原稿中の日本円は2022年2月28日時点のレートで計算したもの。