商品の広告表示をめぐって消費者庁から指摘を受けた大阪の製薬会社「大幸薬品」は、
業績の悪化を受けて、全社員の1割余りの希望退職者を募ることを決めた。
来月中旬から全社員の1割余りにあたる30人程度の希望退職者を募集。
対象となるのは、ことし7月末時点で40歳以上59歳未満の社員などとしている。
会社では、主力商品の「クレベリン」の広告表示をめぐって消費者庁から指摘を受けた影響などで、
売り上げが減少し、去年1年間の決算で最終的な損益が過去最大となる95億円の赤字となったほか、
ことし3月末までの3か月間の決算でも17億円の最終赤字となるなど、厳しい経営状況が続いている。
希望退職には、退職金を割り増しして支給するほか、再就職の支援なども行うという。
大幸薬品は「コストの削減にも限界があり、社員には申し訳ないが誠実に対応していきたい」と説明。
2020年、新型コロナの感染拡大に伴い、株価が急上昇した医薬品メーカーの一つに大幸薬品が通りあげられた。
8月20日には2928円の上場来高値(調整後)を付けた。年初来安値からは2.7倍の急騰。
8月12日に発表した第1四半期(2020年4~6月)決算は、
前年同期比13倍超となる約28億円の営業利益を達成。
けん引したのは正露丸ではなく「クレベリン」という除菌剤だった。
二酸化塩素分子を発生させ、空間に浮遊するウイルス菌を除去する製品。
大幸薬品はクレベリンの生産能力向上のため新工場の建設を計画するなど鼻息は荒かった。
「コロナの感染拡大で、消費者の衛生意識は高まっている。
今後、国内ではオフィス、ホテル、車の中などでの使用を提案して拡販を狙う。
そして、競合商品のない海外での展開で販売チャネルを広げていきたい」
(中條亨・大幸薬品企画・IRグループマネージャー)
クレベリン」の広告表示をめぐって、根拠の有無が取り沙汰され、消費者庁からも疑義が呈されたが、
大幸薬品は反発、効果を主張した。
だが消費者庁は「合理的な根拠が認められない」と指摘。
最終的に大幸薬品はこの主張を全面的に受け入れ、景品表示法に違反していたことを認めた。
大阪に本社がある大幸薬品は、主力商品の「クレベリン」のパッケージなどに、
空間のウイルスや菌を除去する効果があるかのように表示。
これについて消費者庁は会社側に資料の提出を求めたが「合理的な根拠が認められない」として、
景品表示法に基づく再発防止などを命じる措置命令を行った.
無駄な争いをせず、戦略を変えれば良かった。
大幸薬品の、1日の終値は607円。
一家に一つの正露丸、歴史と信望がある会社の凋落。
復活できるのか。