11日付のフランスの経済紙レゼコーは、参院選での自民党の勝利について、
岸田政権が経済改革を進める環境が整ったと指摘する一方、
安倍晋三元首相の銃撃事件を巡る自民党と宗教団体の関係が問題視され、
政権の足を引っ張る可能性があると伝えた。
レゼコーは、銃撃事件の容疑者の母親が入信した世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に関し、
欧米では「カルト宗教」と認識されていると指摘。
自民党との関係は第2次大戦後にさかのぼり、反共産党の立場を共有して選挙支援を受けてきたと説明。
フィガロ紙は、日本の大手メディアは10日まで宗教の名前を伝えなかったと指摘。
統一教会は、公安調査庁が出す「内外情勢の回顧と展望」というレポートで取り上げられる組織だった。
「特異集団」という、カルトや新興宗教団体などを扱う項目に
「こうした特異集団は,引き続き,独自の主義・主張の具現化に向け,
危機感や不安感をあおって勢力拡大を図っており,その過程で不法事案を引き起こすことも懸念される」として、
不透明な朝鮮半島情勢を背景に,「国内外の韓民族の和合と統一を図り,南北の平和統一に貢献する」として,
我が国において,在日韓国・朝鮮人の糾合を目的とする新組織を設立し,
これら在日関係者を取り込むことで勢力拡大を図る動きをみせた集団もあった」(平成17年版)
これら在日関係者を韓国の大会に参加させるなどして,
在日組織との間で軋れきを生じさせるといった動きを示す集団もあった」(平成18年版)
そういった動向が書かれていた。
だが、公安調査庁の「内外情勢の回顧と展望」の「特異集団」という項目は、
2006年版を最後に消えた。
しかし、統一教会はその後も全国各地でトラブル起こしている。
2012年 統一教会に2.7億円賠償命令 札幌地裁「布教活動は違法」: 日本経済新聞
2017年 旧統一教会に賠償増額の判決 多額献金を巡り 東京高裁:朝日新聞デジタル
2020年 旧統一教会に賠償命令 違法勧誘、東京地裁 - 産経ニュース
構成員の中には,強引な勧誘で暴力事件を引き起こしたり,
公的機関に勤務していることを利用して勧誘を行うなどの動きも見られた」(平成14年版)
カルトへの警戒感が薄れたり、知らない人が増えているのは、
公安調査庁が2007年から書かなくなったことが一定程度影響があるのかもしれない。
富山県内に住むこの宗教団体の元信者がチューリップテレビの取材に応じ、
多額の献金で崩壊した家庭は複数あると証言。
元信者:
「知った当時は、こんな教えがあるんだってうれしくなって、だけどやっていくうちにいつも『お金お金お金』なんです。
献金献金。実際、現実を振り返れば家庭はぐちゃぐちゃでしたね。
でもこれは『通らなければならない道』だと聞いていたので。反対されるのも摂理って聞いていたので、
そういうことなんだなって」
山上容疑者の母親は1990年代後半に統一教会の信者となり、生活が経済的に破綻した。
同じ時期に信者だった県内に住む女性はこう話します。
元信者:
「いくらお金があるかと聞かれる。そんなに貯金はないって言うと、
生命保険を解約したり、カードローンですかね。借りられるところまで借りるっていう。
自分がやらないと。まあ強迫観念といわれたら強迫観念になるのかな」
女性は借金を重ね、高価な「つぼ」を購入するなどして、10年間で合わせて1000万円近く献金したといいます。
巧妙なマインドコントロールで献金せざるを得ない状況に追い込まれたというのです。
元信者:
「(団体を)知らない人はどうしてこんなに(怪しいと)騒がれているところに行くんだろうと思うと思うんです。
でもやっぱり入り口はそういうところから入らないことが多いので、
それがわかったときにはすでに『これしかない』という気持ちになっているので、
あとから(宗教と)わかっても、すべてにおいて説明される。
『これはこういう意味がある』と言われると納得してしまう」
世界平和統一家庭連合 田中 富広 会長は会見で、
「過去、献金に関してトラブルあったのは周知の事実です。
2009年ときの当時の会長が記者会見し、声明文を発表している。それ以降の案件でトラブルはない」と、
トラブルがあったことは認め、いまは無いと断じた。
しかし、全国霊感商法対策弁護士連絡会 代表世話人 山口 広 弁護士は
「全く白々しい発言だと思います、(信者は)従わざるを得ないんですよ、信者としてはノルマなんですよ、
目標だとはいいつつノルマ、絶対に達成するべきノルマなんです、したがって死ぬ覚悟でやれと、
何回もそんな資料を見ました。多い人は10億、20億の被害でもありましたし、
そういうお金を裁判で取り戻したこともあります。現実にたくさん見ていますし、
今も相談を受けているケースがあります」
韓国メディア「イーデイリー」は「統一教会(現在の「世界平和統一家庭連合」)について、
1954年ムン・ソンミョン(文鮮明)氏が創設した韓国の新興宗教とし、
現在の「世界平和統一家庭連合」は韓国全土に22の教区、231か所の教会があると説明。
信者数は31万人、準信者(NGO団体会員)を含めると100万人ほどになるという。
海外の信者数は日本60万人、フィリピン12万人など、世界におよそ300万人いると推定されると報じた。