「休みをデザインすることが大切」
日本の祝日が他国に比べて多いことが長時間労働に影響していると指摘する専門家がいる。
ニッセイ基礎研究所主任研究員の土堤内昭雄氏。
「休み方と働き方の問題は裏表になっています。いまのような休み方を変えていかないと、
長時間労働だってなくならない」と主張。
「本来、休みは個人が主体的に休むべきもの。お上が一斉に休ませるいまの状態は時代にあっていません。
働く側が自分の都合に合わせてマネジメントできなくなってしまう」と指摘。
データブック国際労働比較(労働政策研究・研修機構、2017年)によると、
日本の祝日16日は、イギリスの8日、アメリカやドイツの10日、フランスの11日、イタリアの13日など、
先進国の中でも飛びぬけて多い。
日本の有休消化率も、世界でも最下位クラスだ。
「祝日を無理やり増やす」という国のやり方は、有休が取れない現実の裏返しでもある。
なぜ日本人は「有休」を使えないのだろうか。
「それぞれに有給を100%消化する、という意識がない。
『もしもの時のために残しておかないと』というふうになってしまうし、
『休んでいる=サボっている』という価値観も根強い」
「さらに、成果ではなく働いた時間で評価されるという企業文化が残っていることも問題です」
「休みを取る人は仕事をしていない、早く来て遅く帰る人が『がんばっている』と評価されてしまう。
もはや、そのような『企業戦士』が受け入れられる世の中ではないのにもかかわらず、です」
「フレキシブルな働き方、つまり休み方ができない企業は、人口減少社会において優秀な人材が確保できず、
持続できなくなってしまうのではないでしょうか」と警告する。
「働くことと休むことには、相乗効果がある。休みをもっとポジティブに捉えるべきなんです。
インプットに使えることもある。仕事以外の事柄に時間を割くこともできる」
「疲労回復だけではなく、それぞれの仕事のパフォーマンス向上にもつながることになる。
つまり、休みをマネジメントすることは、仕事をマネジメントすることだと言えます」
「休みといっても、リゾートに行く長い休暇じゃなくて良い。半日とか1日とか、数時間単位でも良い。
メリハリをつけることに意味があるんです」
‘@1948年の制定時は計9日だった祝日は安倍政権でさらに増加した。
休みが増えても長時間労働が無くならず、生産性も低い。
負のスパイラルだ。
いずれにしろ、本人がそれなりに満足し、楽しければ、
遊びであろうが仕事であろうが問題はない。