日本の労働生産性は先進国中最下位であり、一度も最下位から脱却したことはない。
生産性の伸び悩みにはさまざまな要因があるが、その1つとされているのが硬直化した産業構造だ。
日本の産業界では、元請け企業が下請け企業に発注し、下請け企業はさらに孫請け企業に発注するという、
重層的な下請け構造がよく見られる。
産業が階層構造になること自体は海外でも珍しいことではなく、
役割分担に応じて適切な構造を形成するのであれば何の問題もないが、
構造の維持が目的化されてしまうと著しい非効率化を招く。
日本はアメリカと比較して人口当たりの会社数が19%も多い。
原因の1つが中間マージンを取ることだけを目的にするムダな事業者の存在である。
元請け、下請け、孫請けと流れる分だけ経費が余計にかかる。
150万円で顧客が発注しても、元請け企業が40万円を中抜きすれば下請け企業には110万円しか渡らない。
さらに下請け企業が30万円を中抜きすると孫請け企業は80万円で仕事を受けることになるため、
最終的には単価が半分近くになってしまう。
東京五輪がいい例だ。
各企業は利益を上げる必要があることから、再委託されるたびに業務の付加価値は減っていく。
手抜きが多くなる可能性が大きい。
日本の流通コストは諸外国よりも高いとされるが、流通でも似たような現象が起きている。
販売会社の数が多過ぎ、多くのムダが発生している。
竹中平蔵先制は社会構造が云々言う前に、お前が中抜きしなければ正常になるということだ。(もう退職したが)
中抜きを排除し産業構造をシンプルにするだけで賃金は上昇でき、余剰となった労働力を他の生産に従事すれば、
人手不足解消にもなり、GDPも増える可能性がある。