誰がサプライチェーンの監視コストを負担するのか?
日本でも防衛産業を支えるサプライヤー撤退が続き問題化して対策に乗り出しているが、
米国では「サプライチェーンの管理や監視は誰に責任にがあるのか?」と議論になり、
プライム企業は「そこまで要求するなら追加の金を払え」と主張。
安全保障に直結する同問題の根深さは「撤退するサプライヤーから製造を引き継ぐ受け皿を用意する」という単純な話ではなく、
COVID-19やインフレの問題に直面して我々が理解していたよりもっと複雑な問題が潜んでいると警告。
最終的に複雑化する装備製造のサプライヤーを「誰が管理するのか」という問題に発展している。
偽部品の精巧さは年々向上して本物と見分けがつかなくなっているようだ。
偽部品の影響は既に事故という形で表面化しており、2020年6月にF-16の射出座席が正常に作動せず、
パイロットが死亡した件を調査した米空軍は「最大10ヶ個の偽部品が使用されていた可能性がある」と発表。
中国企業のサプライヤーが製造した半導体チップは国防総省のサーバー、CIAのドローン、
海軍の船内ネットワークで沢山見つかっており、サプライヤーが、
「国防総省の定めた買収ルールを守ってくれるだろう」という信頼が当てにならない状況だ。
日本では「撤退するサプライヤーから製造を引き継ぐ受け皿の用意」にしかスポットライトが当たっていないが、
国産航空機ですら構成部品の40%~60%(令和3年11月15 財政制度分科会への提出資料)を輸入に頼っているので、
これから開発する次期戦闘機も主要コンポーネントが国産でも「何十万点もの部品」を全て国内調達で賄うのは難しく、
「偽部品の混入」に悩まされる可能性があると考えるのが妥当で、装備調達に含まれる「目に見えないコスト」は今後上昇する可能性が高い。
‘@部品なども焦って買うと不良品を買わされる確率が高くなる。
命に関わる問題だが、今は世界争奪戦の様相を呈しているので、致し方ない。
ロシアの戦闘機が自国に墜落したのもそのためではないかと言われている。