太平洋島しょ国のパプアニューギニアが台湾にある「商務代表処」を閉鎖すると発表。
中国政府は歓迎の意を表した。
中国外務省の汪文斌報道官は12日の記者会見で、
「中国は、パプアニューギニア政府が在台湾商務代表処を閉鎖すると発表したことを高く評価・称賛する」
「一つの中国原則を堅持することが国際社会の向かうところだと改めて証明した」と、大いに歓迎する考えを示した。
パプアニューギニアは1999年、一時、台湾との国交の樹立を模索したが、実現には至らなかった。
パプアニューギニアのトカチェンコ外相は今回の措置について、「中国への譲歩」であることを否定。
理由について、台湾に窓口を置くメリットがないなどと説明しているという。
多様な人々が暮らすパプアニューギニア。人口は太平洋島しょ国の中では最大の約900万人。
天然ガスなどの資源も豊富で、この地域では大国となる。
近年、首都ポートモレスビーでは中国企業によって建設されるビルが目立つ。
民間の建物だけではなく裁判所など政府の施設も中国企業によって作られている。
街中のいたるところに「CHINA AID(中国援助)」と書かれたモニュメントが置いてあり、
道路脇や建物の目立つところに中国の援助で作られたことを示すマークがついている。
パプアニューギニアの最大の援助国かつ貿易相手国はすぐ南に位置するオーストラリアだ。
スーパーマーケットにはオーストラリアからの輸入品がずらりと並んでいる。
だが、オーストラリアとの関係は深いけど、発展への貢献はあまり感じない。
発展するようになったのは中国が来るようになってからだと市民は語る。
一方、経済的な結びつきが強まるにつれ、軍事的な面での影響力も高まっている懸念がある。
問題視されているのがパプアニューギニア軍の海軍基地建設。
経済特区が計画されている場所は、オーストラリアの対岸で500キロほどしか離れていない。
「飛行場と軍事施設が含まれていて奇妙だ」と、パプアニューギニアのシンクタンクの専門家は話す。
パプアニューギニアの隣にあるソロモン諸島。ここをめぐって、アメリカを強く刺激する出来事が起きた。
ソロモン諸島のマネレ外相と両政府間の安全保障協力に関する協定に正式に調印。
具体的内容は明らかにされていないが「ソロモン諸島が中国に軍や警察の派遣を要請できる」ことなどが盛り込まれていると言われている。
軍事施設の建設につながるのではないかという憶測も広がった。
ソロモン諸島など多くは自国の軍を持っておらず、紛争が起きればオーストラリアなどに軍の派遣を依頼してきた。
いわば‟欧米の勢力圏‟とされたこの地域が、中国の進出を受け入れるようになった。
いま、パプアニューギニア軍の海軍基地はアメリカの支援を受けて拡張工事が行なわれておる、
工事を技術的にサポートするため、常に60人ほどのアメリカ兵が滞在しているという。
中国の影響力拡大に対抗したとみられる。
2022年9月、バイデン大統領は太平洋島しょ国の首脳を招き、初の会議を開いた。
「アメリカと世界の安全保障は太平洋島しょ国にかかっています。私は本当にそう思っています」と述べ、
島しょ国に約1200億円の経済協力支援を表明した。
だが、アメリカの動きに不安を感じる人もいる。
アメリカは安全や高度な技術をもたらしているが、私たちの土地を再び脅威にさらしている感じる。
アメリカは他の国と問題を抱えていて、彼らはパプアニューギニアにそれを持ち込んでいると。
パプアニューギニア軍司令官は、
「今の地政学的状況は厳しいと認識しています。小さな国ですが、この地域をめぐって起きていることを心配しています」
パプアニューギニアの前首相、ピーター・オニール氏は中国による支援や企業が投資しやすい環境を整えた立役者でもあるが、今の中国の動きをこう懸念する。
「とても深刻に受け止めています。私たちは第二次世界大戦や世界中で起きている紛争のような経験を繰り返したくないのです。
どの国の軍事施設もこの地域に入れたくはありません。それが平和と秩序を守る方法です。
中国とアメリカの間でおきている地政学的な議論の中で、私たちは板挟みになっています。
私たちは安全保障の分野で中国と何かをしようとはしていません」
首都から飛行機で1時間半ほど離れた場所にあるラバウルはかつて日本がアメリカ・オーストラリアと凄惨な闘いを繰り広げた場所だ。
前線を視察中に戦死した連合艦隊司令長官・山本五十六が「最後の夜」を過ごしたという地下壕も残されている。
‘@背に腹は代えられないということか。
一度付け入る隙を与えると雪崩れ込んでくる。
一度甘い蜜を舐めると止まらなくなるが、後で後悔するも遅し。