ロシア産原油、3月から日量50万バレル減産。
英ロイター通信によると、ロシアのノワク副首相は10日、
ロシア産原油の生産量を3月から日量50万バレル減産すると表明。
国際エネルギー機関(IEA)によると、ロシアの原油生産量は昨年12月時点で日量約980万バレルで、
減産規模は約5%程度になる見通しだ。
ロシアの減産表明を受けて、欧州を中心に取引される北海ブレント原油の先物価格は、一時2%以上値上がりした。
英BPによると、2021年時点で、ロシアの原油輸出量はサウジアラビアに次ぐ世界2位という。
ロシアがサウジアラビアとともに主導する「OPECプラス」は昨年終盤、日量200万バレルの供給削減を発表。
ロシアの減産はこれに追加される。
OPECプラスにはロシアの減産分を補って生産を増やす意思はないと、複数の参加国代表は示唆した。
EUがロシア産原油の輸入禁止と上限価格を導入して以来、一定の減産は大方が見込んでいた。
「ロシアは減産に追い込まれた状況を、自発的な選択の結果のように見せようとしているのかもしれない」と、
元ホワイトハウス当局者で米ラピダン・エナジー・グループを率いるボブ・マクナリー氏は説明。
ノワク副首相は、西側諸国の価格制限に従う気はないと述べ、
「さらなる決定を下す際には、市場の動向に基づいて行動する」とした。
ロシアの石油収入はここ数カ月、打撃を受けている。
ブレント原油が昨年6月以降、バレル当たり約40ドル下落したことが最大の要因で、
「中国の経済活動の再開が原油需要の増加につながる」との期待が高まるものの、上値が重い状況が続いている。
ロイターによれば、1月のOPEC(石油輸出国機構)の原油生産量は日糧2887万バレルで、
昨年(2022年)12月から5万バレル減少。
ロシアの代表的な油種であるウラル原油のブレント原油に対するディスカウント幅も拡大した。
ロシア産原油への制裁はこれまで原油価格の上昇を招いてきたが、情勢は一変している。
ロシアも高値で売りたいが、制裁が効いて安値でしか購入してくれない。
ロシアが割安価格で原油などの輸出を増加させる動きを強めれば強めるほど、
世界の原油価格にとって下押し圧力になるリスクが高まる。
そこで、サウジの国営石油会社サウジアラムコは、3月積みのアジア向け原油油種の大半について値上げ。
同社の主要油種であるアラビアンライトの価格は、バレル当たり2ドル、2月積みを同20セントそれぞれ上回る水準となった。
ロシアはこれに追従する形をとったのかも知れない。