フランスのマクロン大統領が11日、訪問先のオランダで演説中に会場の参加者から抗議のやじを受け、
演説を中断させられる一幕があった。
客席には「暴力と偽善の大統領」と英語で書いた横断幕も掲げられた。
フランスでマクロン政権が強行採択した年金改革法や、不十分な気候変動対策に対する抗議とみられる。
マクロン氏は、オランダ国王と王妃の招待を受け、国賓としてオランダを訪問。
午後4時過ぎ、西部ハーグにあるシンクタンクで経済や産業をめぐる欧州の主権をテーマに英語で演説を開始。
間もなく2階のバルコニー席にいた聴衆の中から数人の男女が声を上げ始めた。
「フランスの民主主義はどこにいった」「誰もあなたの話は聞いていない。数百万人が街頭デモに出ているぞ」
「気候変動枠組み条約が守られていないぞ」などと英語で叫んだ。
この男女らによる抗議は、警備員が会場から追い出すまで約1分間、続いた。
マクロン大統領は「法律に反対だから何でもできると考えるのなら民主主義を危機にさらす」などと応じた。
フランスでは、政権による年金改革法案の強行採択をきっかけに、市民生活の混乱が深まっている。
23日には採択後初めてのフランス全土で大規模な抗議デモがあり、全国で108万人が参加。
パリ中心部のオペラ座周辺などでは、デモ隊の一部が暴徒化し、警官隊が催涙弾を発射。
パリではこの日140件の火災が起きたという。