米バイデン大統領は20日、年金基金が企業の気候変動対策などに基づき投資判断を行うことを防ぐ、
共和党の提案を巡り拒否権を行使。
バイデン大統領が拒否権を行使するのは大統領就任後初めて。
バイデン大統領はツイッターに投稿した動画で、
「議会で可決された法案は、全米の個人の退職年金を危険にさらすことになるため、拒否権に署名した」と述べた。
米議会上院は今月1日、決議を50対46で採択。
決議は、年金受託者が退職者向け投資を選択し、委任状投票などの株主権を行使する際に、
環境・社会・企業統治(ESG)要因を考慮することを容易にする労働省の規則を覆す効果がある。
トランプ前大統領の下で、ESG要因を考慮できるのは稀な場合であるとする規則を設けたが、これが覆された形だ。
この規則は、1億5千万人超の年金プランで運用される約12兆ドルが対象となっている。
共和党は、投資家の退職金でリベラル的な目的の追求を可能にし投資を政治化することで、
運用成績に影響が及ぶと批判。
一方、民主党のチャック・シューマー上院院内総務は、共和党が個人の投資判断に干渉していると批判。
「自分たちの意見を全ての企業や投資家に押し付けている」と強調。
民主党からは、ジョー・マンチン議員とジョン・テスター議員が賛成票を投じた。
両者は2024年に共和党寄りの州で再選を目指す。
共和党が多数派を占める下院では、既に前日採択されていた。
‘@ESGに関連した投資は、ロシアのウクライナ侵略により、世界的なエネルギー高や高インフレが蔓延。
化石燃料への回帰の動きが顕著になり、低迷している。
2022年の米国のESGファンドは2021年に比べると4分の1程度だという。
共和党知事の州を中心にESG投資を排除する動きも見られる。
今回の規則改定により米国でESG投資の動きが再加速するのか注目される。
また、ESG投資商品を提供する金融業者には、適正なESG投資であるか問われることになる。