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​平安時代に生き別れた兄弟が”奇跡の再会”

2022年2月上旬、大阪府豊中市の山内研治さんは新聞に目を通していた。

普段じっくり読むわけではないが、その時はなんとなく隅々まで。すると、ある記事が目にとまった。

仙台市に住む99歳の小野寺宏さんが、地域や祖先の歴史を調べ続けているという。

小野寺さんは、父がまとめた祖先の膨大な記録を後世に残すため、史料の裏付けをして「中世の小野寺氏」(1200ページ)という大著にまとめていた。



小野寺氏は中世の武士の家系だ。

「これはもしや…」山内さんは直感した。

この小野寺氏は自分の先祖である山内氏と関係あるのではないか。鳥取県出身の山内さんも、実は70歳の時から祖先の歴史を調べ始めていた。

当時はちょうど平安時代にさしかかったあたりだ。

山内さんは新聞社に連絡を取り、記事を書いた記者を介して、小野寺さんにこんな手紙を出した。

「小野寺氏と山内氏はひょっとして昔の兄弟ですか」

小野寺さんの答えは明快だった。

「小野寺氏の初代・小野寺義寛(おのでら・ぎかん)は、山内首藤(やまのうちすどう)氏の流れをくんでいます。山内首藤俊通(としみち)の弟とされています」

山内さんは感動で体が打ち震えた。実は、山内家に伝わる系図には、兄弟との表記があったものの、

中世に作られた系図集の権威「尊卑分脈(そんぴぶんみゃく)」にはその記載がなかったのだ。



この兄弟は、中世の日本史に登場している。

「兄」である山内首藤俊通は源義朝の家臣だった。1159年の「平治の乱」で戦い、京都の四条河原で殺された。

「弟」の義寛も源氏の家来として活躍し、軍功を挙げて栃木県栃木市岩舟町小野寺に居を構えたという。

ちなみに、2022年のNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」にも山内首藤通は登場している。

(共同)