日本で新型コロナウイルスの感染が確認されてから1年。
最近では、コロナ治療を終えた後も続く後遺症の存在について語られるようになった
東京・渋谷で「新型コロナウイルス後遺症外来」を掲げ、オンライン診察を含めて、
北海道から沖縄、米国に住む患者さんの治療にあたっている「ヒラハタクリニック」の平畑光一院長。
昨年の3月ぐらいに、もともとは当クリニックに通院していた患者さん2人が、
今思えばコロナ後遺症らしい症状になりまして、どうしてこんなことが起きたのかいろいろと検討していました。
もしかしたらコロナの影響かもしれないと思い、治療を始めたのがきっかけです。
これまでに約800人のコロナ後遺症で苦しむ患者さんを診てきましたが、
一番多いのは40代の方で、次が30代、そして20代です。
症状としては、約95%の方が「倦怠感」を訴えており、その次が「気持ちの落ち込み」、
そして「思考力の低下」を挙げられます。
もちろん体の痛みがある方もいますし、髪の毛が抜けたり、味覚嗅覚障害がある方もいたりしますが、
当クリニックの患者さんで言えば、実は半分もいないという状況です。
ただ「倦怠感」とひと口に言っても、だるさが強い人は歯ブラシを持つのもつらいという方もいますし、
髪の毛を乾かすことができない人、お風呂に入ったら1日中寝込んでしまうような方もいます。
要は、日常生活が成り立たない状態になってしまうんです。
寝たきりになっている割合を見ると、女性のほうが男性と比べてどの年代でも割合が高く、
10代に限って言えば半数以上の女性が寝たきりか、寝たきりに近い状態。
10代男性でさえも半数弱が寝たきりです。
特に症状の重い方に関しては、今のところ症状はなくなっていません。
もしかしたら、一生治らない可能性もあるかもしれませんが、
現時点では分からないというのが正直なところです。
コロナの怖さは、人生を破壊してしまうことです。
正直、当クリニックの後遺症外来を受診される患者さんのコロナ感染時の症状は、
それほど重症ではありません。
ですが、その後のコロナ後遺症で働けなくなってしまった方もいますし、
10代の寝たきりの患者さんがすごく多いのが実情です。
当クリニックの患者さんに限って言えば、後遺症のために解雇された人は10人以上、
休職した人も100人以上、在宅や時短勤務になった人も約60%います。
陸上をやっていて元気に走り回っていたような子が、コロナに感染して、
後遺症のために今は寝たきりになってしまっている。もしかしたら一生治らないかもしれない。
そう考えると、非常に恐ろしいですよね。
例えば後遺症で5年間寝たきりだったとして、新薬が出て治ったとしても、
寝たきりだった5年間は取り戻せません。そういった意味でも、本当に恐ろしいと感じています。
後遺症で苦しまないためにも、まずはコロナに感染しないことが大切です。
英国の論文によると、コロナに感染して退院後の140日間を追いかけたところ、
12%以上が亡くなっていたという報告もあります。
ですから、コロナに感染しないことにまずは集中してほしいです。
そして「後遺症が出たら治らない」「今続いている症状がどんどん悪くなる」
と思い込んでしまう人がいますが、症状を和らげることはできます。
もちろん今後、治療法が出てくる可能性が高くなっていて、
米国ではすでに後遺症に効く薬の治験も始まっています。
ですから、今まさにコロナ後遺症で苦しんでいる方には、希望を失わないでいただきたいと思います。
ENCOUNT編集部
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