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当局、中国恒大集団にデフォルト回避指示。

中国の金融規制当局は、深刻な資金難が続く不動産開発会社、中国恒大集団に対して、

幅広い指示を発した。

建設中の物件を完成させることと、個人投資家への債務を返済することに集中的に取り組むとともに、

ドル建て社債で目先のデフォルト(債務不履行)回避に全力を尽くすよう求めた。

しかし、具体的な助言は与えなかったとされる。



中国恒大集団34兆円の負債総額を抱えており、

はドル建て社債で8350万ドル(約92億円)のクーポン支払いが23日に期限を迎えたが、

30日間の猶予期間がある。

中国恒大集団はこの日、20億ドルに及ぶオフショア社債の利息として8350万ドルを支払うことになっていた。

また、来週には4750万ドルのドル建て債利払いが控えている。

当局が支払いに関する資金支援を提案したのかどうかは不明。



中国恒大集団は中国最大級の不動産開発会社の一つ。

米誌フォーチュンが選ぶ世界企業番付「グローバル500」に名を連ねており、

売り上げベースで世界最大の企業の一つとなっている。

香港に上場し中国南部・深センに本社を置く同社は、約20万人の従業員を抱える。

これ以外にも、年間380万人以上の雇用の維持に貢献している。

同集団を設立した中国人富豪、許家印氏は一時、中国で最も裕福な人物となっていた。

中国恒大集団の住宅用不動産は、中国各地の「280以上の都市で1300以上のプロジェクトがある」と主張。

そして、その事業は不動産を超える分野にも広がっている。

住宅以外では、電気自動車やスポーツ、テーマパークに投資。飲食事業まで手がけ、

水や日用品、乳製品などの事業を中国各地で展開している。

2010年には、「広州恒大」の名称で知られるサッカーチームを買収。

中国恒大集団はテーマパーク部門の「恒大童世界」を通じて観光客相手のサービスも手がけている。



中でも有名なのは、海南島で進む巨大プロジェクト「海花島」だ。

熱帯地域にかかる海南島は「中国のハワイ」と呼ばれる。

もともとは同社の経営手法に問題があったが、経営が行き詰まるきっかけとなったのは、

習近平政権による民間企業への規制強化もある。

習政権は、格差を縮小し平等な社会を作るという「共同富裕(ともに豊かになる)」の実現を掲げ、

富の配分を強化するという方針を示している。

大きな収益を上げる民間企業や富裕者層は、「3次分配」と呼ばれる寄付を強いられている。

昨年来、習近平政権は民間企業に対する規制強化を加速させている。

決済アプリのアリペイを提供するアント・グループ、それを傘下に持つEC大手のアリペイなど、

IT企業に対する規制強化を強めてきた。



先日は学習塾など民間教育業に対しても強い規制を講じた。これも、「共同富裕」の理念と関わる。

教育費の増加が庶民の生活を圧迫、子供を持つことを妨げ、出生率の低下にもつながっているとしている。

そうした一部の産業が、激しい学歴競争と格差社会を助長しているとし、

学習塾など民間教育業に対して強い規制を講じた。

規制強化の対象に不動産業も含まれている。不動産業が投機を煽り、住宅価格が高騰した結果、

庶民の生活は圧迫され、負担面から子供を持つ意欲が削がれているという。

日本も耳の痛い話だ。

しかし、中国は大きな改革に乗り出しているが、日本はほとんど手付かずどころか、

格差拡大を助長する政策ばかりをとっている。

中国でこうした規制強化の影響を最も強く受けたのが恒大集団。

恒大集団が中国全土で手掛ける開発案件の半分以上は凍結されたという。

直近の決算報告によると、同社は6月末時点で890億ドルの債務を抱えており、

このうち約42%は1年以内に支払期限を迎える。

中国当局は地方政府に対し、恒大集団の経営破綻「見込まれる嵐に備える」よう指示している。



地方政府や国有企業は、恒大集団が秩序ある手法で事態に対処できなくなった場合、

間際になってから介入するよう指示されたという。

ということは、当局は介入の意図があるということになる。

先週には証券取引所への提出書類で、一部資産の買い手を見つけるのに苦労していると明かしている。

証券取引所への提出書類によると、投資家探しで「何も大きな進展はない」、

「こうした売却を実現できるかは不確実だ」としている。

同社はデフォルトを回避するために、電気自動車や不動産サービス事業の一部の買い手を探そうとしたが失敗した。

恒大集団は15年に16億ドルで購入した香港の同社オフィスビルの売却も試みているが、

売却は完了していないという。



株主は数カ月前から警戒感を強めていた。同社の株価は今年80%以上下落。

ここ7日連続下落していたが、23日の終値は21日に比べて17・62%上昇。

利払い金およそ39億円の支払いを実行すると宣言したが、実際に支払ったかどうかは発表していない。

30日間の支払い猶予もあるとされ、当面は債務不履行にはならないとの見方が広がり、

多少の安心感で買い戻しが入った。

しかし、水準自体はいまだ年初から8割ほど低い。

不動産などは李克強首相の担当とされる。

習近平首席と李首相の仲はあまり良くない。

間際になってから介入するよう指示したということは、突き放している可能性がある。

そして、李首相の顔面が蒼白になり、助けてください状態になれば、助けてやる。

全てはお前の責任だ。


中国もさすがに、34兆円の負債を抱える中国恒大集団がデフォルトしたら、対内外的にも大変なこととなる。

手を差し伸べざるを得ないだろう。