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​ワクチン接種88%のイギリスでブレークスルー感染。

先日新型コロナ関連で死亡した、米、コリン・パウエル国務長官は、

ブレイクスルー感染の事例であることが知らされた。(合掌)


7月23日、イングランド公衆衛生局がある調査結果を公表した。

同調査は、2月1日から7月19日までにデルタ株に感染した約23万人を、ワクチンの接種回数などで分類。

ワクチン未接種の感染者は12万1402人で、2回接種済みの感染者は2万8773人。

そのうち、死亡者は未接種が165人、2回接種が224人だった。

亡くなった人の割合を計算した結果は、ワクチンを2回接種しながらも感染した人の死亡率(0.78%)が、

未接種の感染者の死亡率(0.14%)を上回っていた。



そのデータを見ると、2回ワクチンを接種しても、一定の割合で感染者が発生することが分かる。

新型コロナに対するワクチン接種が日本でも進み、全人口の半分が2回目の接種を終えた。

その一方で2回接種しても感染する「ブレークスルー感染」例が、

割合は少ないものの欧米だけでなく日本でも増えている。

国内では死亡例も出ており、心配している接種者も少なくない。

イスラエルでは3回目を打つ「ブースター接種」が既に進み、米国などでも近く予定されている。

日本政府も準備を進め、対象者や実施体制などについて本格的な議論を始める。

政府が9月13日に公表した集計によると、1回目の接種を終えた人は全人口の63.0%。

2回接種完了者は同50.9%。65歳以上は88.0%が2回接種を完了した。

一方、東京都の資料から都の例を見ると、9月初めの時点で働き盛りの40代は40%程度、

20~30代はいずれも30%程度でまだ接種が十分進んでいない。

全国的にも東京都とほぼ同じ傾向だ。



その一方で接種が進むにつれて、ブレークスルー感染の報告例が増えてきた。

新型コロナの場合、世界で感染拡大が長く続く中でワクチンへの期待は大きかった。

それだけにブレークスルー感染の報告は多くの人を落胆させている。

接種によって体内に抗体ができても、時間の経過とともにウイルスに対する抗体の量(抗体価)が下がる。

藤田医科大学(愛知県豊明市)の研究によれば、接種3カ月で抗体価が約4分の1に減ったという。

性別、年代別を問わず同じような低下が見られたという。

気になる結果ではあるが、「ワクチンを打っても3カ月程度で効果がなくなる」ことを意味するものではない。

日本の免疫学の第一人者である大阪大学招へい教授の宮坂昌之さんら専門家は、

「ブレークスルー感染で中等症や重症が少ないのは、抗体価が減ってもウイルスに対峙する抗体は残っており、

細胞性免疫も活発化していることによるとみられる」と指摘。

新型コロナに対するワクチンの効果は明らかだが、一方でその限界も見えてきた。

残念ながら「一度打ったら大丈夫」とは言えないことを多くの人が認識するようになった。

そうした中で米国では「3回目を打つと抗体量が5~11倍以上増える」とする報告があり、

先進国の間でブースター接種の機運が高まっている。



ファイザーと独ビオンテックは共同開発した新型コロナワクチンについて、

ブースター接種することで、有症状のコロナ感染を防ぐ効果は95.6%に上ったと発表。

同時に現時点での必要性については意見が分かれている。

ワクチンの効果は一人一人微妙に異なる。

接種は今後も進むだろうが、「2回接種」を終えた人も「ワクチンの有効性と限界」を正しく理解し、

リスク管理を徹底して日々の行動をする。これからはそのことが何より求められるだろう。

感染の「第5波」では全国的に医療崩壊をもたらし、「自宅療養」のまま亡くなる痛ましい例も相次いだ。

9月に入るころから新規感染者の増加ペースは落ちて、現状かなり抑えられている。

誰もが現在の感染が早く収まることを願っている。

しかし新規感染者がほとんどいなくなる「収束」は、冬を迎える日本に来るのだろうか。

ワクチンを打っても、これまでの感染防止策は続けていくことが求められる。