埼玉県川口市立中学校の元男子生徒(19)へのいじめに関し、
元生徒宅を訪れて、仕方なく謝罪した。教育長らが元生徒に直接謝罪したのは初めてだ。
当時の学校と市教委の関係者ら。茂呂修平教育長から順番に謝罪の言葉を述べた。
その中で、松崎寛幸元校長は用意してきた謝罪文のメモを読み上げた。
元生徒は、松崎元校長にいじめを直接訴えていた。しかしそのことには触れられていなかった。
そもそも教育者足るものが、謝罪をするのに定型文を読み上げて謝罪すること自体相手を馬鹿にしている。
謝罪の意図など無いということだ。
元生徒は「松崎校長や教育委員会は、なんで文部科学省や県教委に、
僕と話していないとか僕に会えていないとか、うそばかり報告してたんですか」と質問した。
沈黙が続き、被害者の親森田さんは「答えてあげてください」と促したが、元校長らは答えなかった。
元部活顧問の岩井厚裕教諭は、元生徒からいじめの相談の手紙を受け取り、返事も書いていたが、
「覚えていない」と突っぱねた。
また、松崎元校長は裁判が続いている最中に、元生徒が笑顔で写っている写真を第三者に見せ、
「こんな表情しているんだから、いじめなど受けていない」と話していたことを認めた。
森田さんが「息子はマスコミにも顔を出していない。職務上知った個人情報を広めていいのか」と詰め寄ると、
茂呂教育長は「初めて聞いた」と話し、目をつむってうつむいた。
教育長は何の解明対策も取っていなかったのだ。
元生徒は学校や市教委の対応で心的外傷後ストレス障害(PTSD)となり、
現在は精神障害の手帳を交付されている。この日はいつもより服薬を増やしてこの場に臨んだ。
関係者が帰ると、ぐったりしてベッドに伏せてしまったという。
学校関係者が正直に答えることで、被害者の気持ちは和らぐ。
それなのに、何も回答しないということは、被害者の気持ちをさらに深く傷つけることとなる。
これでは、謝罪では無く、傷口に塩を擦り込みに来たのと同じだ。
建前だけの謝罪では、家族の憤りは治まらず、さらに深い闇に放り込まれる。