「オミクロンが侵入してきた時と同じような感じだ。かなり広がっているのではないか」
20日のNHK「日曜討論」で日本医師会の中川俊男会長は、
「ステルスオミクロン」(BA.2)について警戒を示した。
ステルスオミクロンは、欧州で主流の検査法ではオミクロン株として探知が難しく、
故に“ステルスオミクロン”(以下ステオミ)と命名された。
国内の検査法では探知できるものの判別はできず、ゲノム解析で見つける必要がある。
現在、ゲノム解析が実施されているのは検体の5~10%程度。
把握できているのは氷山の一角だが、次々と市中感染が確認されている。
名古屋市衛生研究所は、1日に60件ほどゲノム解析しているが、8件のステオミが見つかった。
17日には都内でも初となる2件、18日は仙台市でもステオミの市中感染が確認されている。
西武学園医学技術専門学校東京校校長の中原英臣氏(感染症学)は、
「BA.1から、感染力が強いとされるBA.2へと置き換わり、リバウンドにつながる可能性があります。
オミクロンの感染者が減っても、ステオミが蔓延すれば、全体として感染者数は上昇に転じ、
最多更新もあり得る。少なくとも、ピークから、グーンと減少することは考えにくく、
高止まりが続くと思われます」と警戒する。
ステオミの感染力と重症化リスクはオミクロンよりも手ごわい恐れがある。
厚労省の専門家組織「アドバイザリーボード」はステオミの実効再生産数は、
オミクロンより18%増えると推計。
ステオミが主流となっているデンマークでは、ステオミの感染力がオミクロンより約33%高いとの報告がある。
かつてない感染拡大を引き起こしているオミクロンよりも感染力が3割増とは脅威でしかない。
東大医科研の佐藤佳准教授らが行ったハムスターによる実験では、
ステオミが重症化を引き起こす能力はデルタ株など従来株と同等の可能性があるという。
2月中旬になって39度超の発熱事例が複数見られたり、
かつてないほどウイルス量が多い検体があるなど、
1月中とは様子が違ってきているとの医療現場からの報告もある。
「ピークアウト」と浮かれている場合なのか。
そもそも、検査数が減って感染者の数字が減っている。