中国の王毅外相は、北京で開かれている全国人民代表大会(全人代)に合わせて7日、記者会見をした。
この中で、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻について、
「対話と話し合いを通じて、平和的な方法で争いを解決しなければならない」と述べ、
対話による解決を他人事のように訴えた。
そのうえで「中国は和解に向けた話し合いを促し、建設的な役割を果たしていきたい。
必要な時に、国際社会とともに仲裁を行う用意がある」とし、
国際社会が求めるなら、中国も動くとの見解を示した。
いま、中国の努力が見えない中、「人道主義的な危機を克服するため、引き続き努力したい」とした。
また「日中関係は依然として分岐と挑戦に直面している」との認識を示した。
そのうえで日本に対し「3つの忠告」と銘打ち、
・両国関係の方向について初心を忘れないこと・
台湾問題や歴史問題で両国関係に大きな衝撃を与えないこと。
・時代の潮流に沿って行動することなどを求めた。
3つ目の忠告では「火中の栗を拾うのはやめるべきだ」ともしていて、
米中対立が激化するなかで、日米同盟の強化を牽制。
さらに、王外相は「台湾問題は、完全に中国の内政問題だ。
台湾問題とウクライナ問題は、根本的に異なり、比較できない」と述べ、
ウクライナ問題が、台湾海峡をめぐる情勢に影響を与えるのではないかという見方を否定した。
また、「アメリカは、中国の核心的利益に関わる問題において絶えず攻撃と挑発を続け、
両国関係の大局を損ねるだけでなく、国際平和の安定に影響を与えている。
これは責任ある大国がとるべき態度ではない」と述べ、アメリカを批判。
「歴史や台湾などの重大で敏感な問題は、両国関係における相互信頼の根幹に関わる。
日本がこうした問題について一連の厳粛な約束を守り、
両国関係に再び深刻な影響をもたらさないことを望む」と述べ、日本側をけん制した。
会見では「日本国内には、中国の急速な発展を見たくなく、両国関係の安定を望まない人が一部いる」
とも皮肉った。
アメリカが先月、中国への対抗を念頭に発表したインド太平洋戦略については、
「真の目的はインド太平洋版のNATOをつくる企みで、アメリカが主導する覇権を守るためのものだ」と述べ、
日本、アメリカ、オーストラリア、インドの4か国でつくる「クアッド」の枠組みなどを強く非難。
そのうえで「われわれは、地域の対立をあおる主張には断固として反対する」と。
対抗していく姿勢を示した。
北朝鮮について「北朝鮮側の合理的な安全保障上の懸念が根本的に解決されておらず、
解決にはすべての当事者がともに向き合うことが必要だ」と指摘。
今後の進展は、アメリカが問題の解決に向けて具体的な行動を起こすかどうか次第だという認識を示した。
そのうえで「政治的解決のプロセスを絶えず推進するよう改めて呼びかける。
中国側は引き続き建設的な役割を発揮し、しかるべき努力をしたい」と述べた。
‘@中国の変わらない考えだ。