プーチンは21日、ロシア軍が包囲攻撃するウクライナ南東部の港湾都市マリウポリについて、
「解放のための戦闘は終了し、成功した」と事実上の掌握を国営テレビで宣言。
ウクライナ軍が立てこもって抵抗を続ける製鉄所「アゾフスターリ」は、攻撃を停止し封鎖を命じた。
放送では、ショイグ国防相がマリウポリの支配確立をプーチンに報告。
蛇に睨まれた蛙が文章を一生懸命読んだ。
プーチンは「ハエも飛んでいかないように産業地区の封鎖」を求めた。
早い話が、上からセメントで固めてしまえというような勢いだ。
製鉄所は広大な地下施設を有しており、約1000人の民間人もいるとされる。
核攻撃に耐えうる施設もあるという。
しかし、ウクライナ側に封鎖を解く余力は残っていない。
ロシア軍が突入を強行すれば、ロシア軍にも多数の死傷者が生じる。
人道回廊による市民の救出はこれまで何度も頓挫しており、
ウクライナのベレシチューク副首相によると20日も機能しなかったという。
同氏はロシア軍が停戦を守らなかったと主張。
プーチンはいつまでグダグダやっているのだと怒りをあらわにした。
「アゾフスターリ」は封鎖して、アリ一匹出でられないようにすれば、いずれ全滅する。
無駄な兵器や労力を使うなということだ。
プーチンをまったく褒めるつもりなど毛頭もないが、冷静な対応だ。
ウクライナのポドリャク大統領府長官顧問は20日、人道回廊の設置について、
継続中の停戦交渉とは別に「前提条件をつけず特別交渉をする用意がある」と述べたが、無視された格好だ。
プーチンはウクライナが降伏すれば開放する構えだ。
ウクライナ側によるとロシア軍は製鉄所の地下施設を破壊できる特殊貫通弾(バンカーバスター)も使用した。
最後は決死の覚悟で、ウクライナ兵が製鉄所から出てきてロシア軍と討ち死にするか、
もしくはもう出てこれない状態になっている可能性もある。
ゼレンスキー大統領は20日、マリウポリには約12万人が閉じ込められたままだと述べ、
状況を打開するには重火器を増やすか、外交手段を用いるかのいずれかだと訴えた。
マリウポリに関しては手も足も出ないことを認めた。
製鉄所の「アゾフスターリ」を除けば、ロシアはマリウポリを制圧したことになる。
ロシアが2014年に一方的に併合したクリミア半島と自国をつなぐ陸続きの回廊ができあがる。
このまま、他の地域を攻めながら5月9日の戦勝記念日に勝利宣言をするつもりだ。